フランスの法制度|販売店契約で注意すべき4つのポイント

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日本企業が販売店(Distributor)を指名してフランスに進出する際は,以下のようなフランスの法制度に注意したほうがよいでしょう。

フランスの法制度 早見表

法体系大陸法(シビル・ロー)
販売店の保護販売店保護法はないが,確立した取引関係を十分な予告なく終了すると損害賠償責任が生じうる
契約の登録不要
言語の規制契約書はなし(商品表示・広告・説明書等はフランス語が必要)
準拠法・紛争解決外国法も選択可能(訴訟・仲裁いずれもあり,第三国ではロンドンでのICC仲裁も)

こんな方に:フランス企業を販売店・代理店に指名しようとしている方,フランス企業から販売店契約のドラフトを受け取った方

① 販売店(代理店)保護法

フランスは,イギリスに由来するコモン・ローの国ではなく,大陸法(シビル・ロー)の法体系に属する国です。フランスでは,代理店契約(Agency Agreement)についてはフランス商法に特別規定がありますが,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に適用される特別の規定は存在しません。そのため,販売店契約の終了に関してサプライヤーがよく挿入する傾向にある中途解約条項,債務不履行解除条項,期間満了による終了条項(更新拒絶条項)なども,基本的には契約書に定めたとおりに効果が得られると考えてよいかと思います。

また,販売店契約では,契約終了を理由に,販売店(Distributor)がサプライヤーに対して補償金などの支払いを要求してくることがあります。そこで,この類の請求は認められない旨を契約書に記載することも多いですが,かかる条項も原則として有効と考えてよいでしょう。

実務上のポイント:もっとも,フランスでは,確立した取引関係を十分な予告期間を置かずに突然終了させた場合,終了させた側が損害賠償責任を負うとする規定(商法典L.442-1条II)があり,販売店契約にも適用されます。そのため,契約書に中途解約条項や更新拒絶条項があっても,取引の継続期間などに照らして十分な予告期間を置かなかったときは,この規定に基づく損害賠償を請求されるおそれがあります(なお,同条では,18か月の予告期間を置いていれば予告期間の不足を理由とする責任は問われないとされています)。

また,販売店が他のサプライヤーから同種の商品を購入しない旨の排他的購入義務(競業避止義務)を定める場合,その有効期間は最長10年間に制限されており(商法典L.330-1条),EU競争法上も契約期間中の競業避止義務は原則として最長5年間とされているので注意が必要です。

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② 登録制度

フランスでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが難しくなるといった事情も存在しないといえます。

③ 言語

販売店契約書の言語を特に制限する法律はないので,英語や日本語などの外国語のみでも契約書を作成することが可能です。ただし,商品の名称,広告・表示,使用説明書,保証の範囲・条件の説明などについてはフランス語を使用しなければならないとされている(いわゆるトゥーボン法)ので注意が必要です。

④ 準拠法・紛争解決

フランスでは原則として自国の法律を準拠法としなければならないという制約はないので,外国法を準拠法とすることも可能です。フランス企業との間での紛争解決は,訴訟が選択されることもあれば,仲裁が選択されることもあります。第三国での仲裁を選択するような場合は,ロンドンでのICC仲裁規則による仲裁を選択することもあります。

フランスの販売店と契約する前に確認したいポイント

  • ✓契約終了時の予告期間が,取引の継続期間に照らして十分な長さになっているか(商法典L.442-1条II)
  • ✓契約終了を理由とする補償金の請求は認められない旨を契約書に定めているか
  • ✓排他的購入義務(競業避止義務)の期間が,商法典(最長10年)やEU競争法(原則最長5年)の制限内か
  • ✓商品の名称・広告・使用説明書・保証の説明などでフランス語の使用が必要になることを想定しているか

【ご注意】本記事は,執筆・更新時点において一般的なレベルで調査した結果を参考情報として記載したものにすぎず,個別の案件についての法的助言ではありません。各国の法令・判例・実務は改正等により変更されることがあり,本記事の内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。実際にお取引を検討される際は,必ず現地の法律に精通した弁護士に最新の情報をご確認ください。

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弁護士 菊地正登(片山法律会計事務所)/相談・案件実績 2,931件

執筆 弁護士 菊地正登(第二東京弁護士会/片山法律会計事務所)

2003年弁護士登録。英国 University of Southampton のLL.M(法学修士)コースワークで英米法・国際取引法等を学び,ロンドンの法律事務所 Hill Dickinson LLP で実務経験。英文契約書・国際取引を中心に取り扱っています。プロフィール

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