サウジアラビアの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してサウジアラビアに進出する際,以下のようなサウジアラビアの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
サウジアラビアには,いわゆる代理店保護法(Commercial Agencys Law)が代理店契約(Agency Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の代理店・販売店を保護するために制定されています。
そのため,日本企業がサウジアラビア企業を販売代理店として指名してサウジアラビア進出をする場合,事前にこの代理店保護法の内容を押さえて,どのようなリスクがあるかを把握しておく必要があります。
例えば,サプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の更新を拒絶して,契約を終了させる場合,一定の要件を充たすと,サプライヤーが販売代理店に対して補償金(直接の損害でかつ証明されたもの)の支払いをしなければならないことがあります。
② 登録制度
サウジアラビアには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度があります。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しえます。
もっとも,この登録制度に違反しても販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)自体が無効になるわけではありません。
また,登録をせずに販売店として活動した場合でも,外国のサプライヤーに対しては罰則は特に適用されません。
こうした事情から,販売店(Distributor)が事実上登録をせずに活動をするということも現地では行われているようです。
③ 言語
販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の言語を特に制限する法律はないので,英文で契約書を作成することが可能です。
ただし,前述した販売店契約の登録については,サウジアラビア語の契約書をもって登録をしなければならないとされている。
④ 準拠法・紛争解決
サウジアラビアでは,販売店契約に関し準拠法をサウジアラビア法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。
サウジアラビアはニューヨーク条約加盟国です。
そのため,日本企業とサウジアラビアの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することも多いです。
なお,前述した登録制度の関係では,販売店契約の準拠法を日本法とし,裁判管轄や仲裁を日本としたものは,当局が登録に積極的でないといわれています。
以上が,日本企業がサウジアラビア企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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