クウェートの法制度

日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してクウェートに進出する際,以下のようなクウェートの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
クウェートには,いわゆる代理店保護法としてLaw No.36 of 1964 Regulating the Commercial Agencies(Commercial Agency Law)があります。
この代理店保護法が,代理店契約(Agency Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の代理店・販売店を保護しています。
また,商法(Law No.68 of 1980 Promulgating the Commerce Law) (Commercial Law)も,代理店や販売店の保護規定を置いています。
これらを受けて,後述するとおり,クウェートには販売店契約の登録制度があり,当局に販売店契約が登録されると,登録されていない場合に比べて販売店の保護が厚くなります。
② 登録制度
クウェートには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度があります。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しえます。
そして,もし販売店契約が当局に登録されていない場合,仮に販売店契約に外国法を準拠法とし,外国の裁判所を管轄裁判所とすると記載していても,クウェートの裁判所は,登録されていない販売店契約に対しても代理店保護法などUAEの法律の適用を認めることができるので,注意が必要です。
そのため,登録がない販売店契約であっても,例えば,販売代理店の債務不履行を理由とせずに,サプライヤーが契約を解除したり,契約の更新を拒絶したりした場合は,販売代理店はサプライヤーに対して,裁判所が決定知る補償金の支払いを求めることができます。
③ 言語
販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の言語を特に制限する法律はないので,英文で契約書を作成することが可能です。
④ 準拠法・紛争解決
クウェートでは,販売店契約に関し準拠法をクウェート法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。
クウェートはニューヨーク条約加盟国です。
そのため,日本企業とクウェートの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することも多いです。
ただし,前述したとおり,クウェートの裁判所が自国の裁判所に管轄を認め,代理店保護法などの自国の法律を適用するということがありうるので,注意が必要です。
以上が,日本企業がクウェート企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。

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