クウェートの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してクウェートに進出する際,以下のようなクウェートの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
クウェートには,いわゆる代理店保護法として,商業代理店に関する2016年法律第13号(Law No. 13 of 2016)があります(従来のLaw No. 36 of 1964に代わるものです)。この法律では,従来と異なり,外国のサプライヤーが同国内で複数の代理店・販売店を指名することが認められるなど,代理店の独占的な地位は弱められています。
この代理店保護法が,代理店契約(Agency Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の代理店・販売店を保護しています。
また,商法(Law No. 68 of 1980 Promulgating the Commerce Law)も,代理店や販売店の保護規定を置いています。
これらを受けて,後述するとおり,クウェートには販売店契約の登録制度があり,当局に販売店契約が登録されると,登録されていない場合に比べて販売店の保護が厚くなります。
② 登録制度
クウェートには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度があります。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しえます。
そして,登録されていない代理店・販売店契約は,上記の代理店法上の代理店としては扱われず,同法に基づく請求は認められないとされています。もっとも,クウェートの商法(1980年法律第68号271条以下)には代理店の補償に関する規定があり,特定の地域において独占的に商品の販売促進・流通を行う販売店の契約は代理店契約とみなされます(286条)。
そのため,独占的販売店の場合には,登録の有無にかかわらず,例えば,販売代理店の債務不履行によらずにサプライヤーが契約を解除したり(281条),販売代理店が十分に活動していたにもかかわらず期間満了時に契約の更新を拒絶したりした場合(282条)には,販売代理店がサプライヤーに対して補償金の支払いを求めてくる可能性があります。
また,クウェートの裁判所は,外国の裁判所を管轄裁判所とする旨の定めがあっても自国の管轄を認める傾向にあるとされているので注意が必要です(外国での仲裁の合意は比較的尊重されやすいとされています)。
③ 言語
販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の言語を特に制限する法律はないので,英文で契約書を作成すること自体は可能ですが,当局への登録の際には,公証・認証を受けた契約書とアラビア語訳の提出が求められる点に注意が必要です。
④ 準拠法・紛争解決
クウェートでは,販売店契約に関し準拠法をクウェート法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。
クウェートはニューヨーク条約加盟国です。
そのため,日本企業とクウェートの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することも多いです。
ただし,前述したとおり,クウェートの裁判所が自国の裁判所に管轄を認め,代理店保護法などの自国の法律を適用するということがありうるので,注意が必要です。
以上が,日本企業がクウェート企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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