オマーンの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してオマーンに進出する際,以下のようなオマーンの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
オマーンには,いわゆる代理店保護法としてCommercial Agency Law(Royal Decree No. 26/77)があります。
この代理店保護法が,代理店契約(Agency Agreement)や販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の代理店・販売店を保護しています。
これにより,後述するとおり,オマーンには販売店契約の登録制度があり,当局に販売店契約が登録されると,登録されていない場合に比べて販売店の保護が厚くなります。
登録された販売店契約においては,サプライヤーが正当な理由なく契約を終了させたりすると,サプライヤーが販売代理店に対し補償金の賠償を支払わなければならないなどの制裁があります。
② 登録制度
オマーンには,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度があります。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しえます。
もっとも,外国のサプライヤーと現地の販売代理店が販売店契約を締結する場合に,準拠法を外国法(例えば日本法)にし,仲裁を外国の地(例えば日本での仲裁)にしておくことで,オマーン法の適用を回避できると言われています。
この選択をすれば,一応オマーン法による販売店の保護に関する規制を回避し得るということにはなります。
ただし,上記と異なり,もし販売店契約書で紛争解決を仲裁ではなく外国での裁判(例えば日本での裁判)としている場合,オマーンの裁判所はオマーンでの管轄を認め,オマーン法の適用をする可能性があるとされています。
③ 言語
販売店契約書(Distribution/Distributorship Agreement)の言語を特に制限する法律はないので,英文で契約書を作成することが可能です。
④ 準拠法・紛争解決
オマーンでは,販売店契約に関し準拠法をオマーン法にしなければならないという規制はないため,外国法を準拠法とすることも可能です。
オマーンはニューヨーク条約加盟国です。
そのため,日本企業とオマーンの企業との間の販売店契約の場合,紛争解決については,強制執行の便宜を考え,裁判ではなく仲裁(Arbitration)を選択することも多いです。
前述したとおり,オマーンの裁判所が自国の裁判所に管轄を認め,代理店保護法などの自国の法律を適用することを回避できる可能性があるという意味でも,仲裁を選択したほうが良いということになるでしょう。
以上が,日本企業がオマーン企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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