Purchase Objective(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Purchase objectiveがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「購入目標」という意味で使用されます。
例えば,独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)などで,販売代理店がサプライヤーから購入する目標数値を定めるときに,purchase objectiveという用語が使われることがあります。
ここで,注意が必要なのは,purchase objectiveという用語を使用した際に,それは法的な拘束力がある(legally binding)ものとして記載しているのか,それとも単なる目標値であり法的な拘束力がない(non-binding)ものとして使用しているのかをはっきりさせるということです。
もし,英文契約書においてpurchase objectiveとして挙げられた数値に法的拘束力があるのかないのかについて明確な記載がされていないと,あとで大きなトラブルになる可能性があります。
例えば,annual purchase objectiveとして5,000万円と定められ,それに法的拘束力があれば,もし販売代理店がその数値を年度内に達成できなければ,契約違反となります。
契約違反の場合の効果として,契約解除などが定められていれば,サプライヤーは独占的販売店契約(Exclusive Distribution/Distributorship Agreement)を解除することができることになります。
これに対し,もしannual purchase objectiveがあくまで目標値であり,法的拘束力はないのだとすれば,未達成であっても,特に販売代理店はペナルティを受けないということになるのです。
このような違いがあるにもかかわらず,単にannual purchase objectiveとだけ書かれていて,法的拘束力の有無について言及されていないと,サプライヤーは当然法的拘束力があると主張するでしょうし,販売代理店はないと主張するでしょう。
そのほうが数値を達成できなかった場合において,お互いにとって有利だからです。
こうなると,契約書の解釈をめぐって紛争になり,金額が大きければ訴訟になりかねません。
そのため,各当事者がpurchase objectiveを法的拘束力があるものとして扱っているのか,それともないものとして扱っているのかについて誤解がないように,きちんと契約書に明記して置かなければなりません。
自社が当然の前提と考えていても,相手も同じように考えている保証は全くありませんので,思い込みは捨てて,すべて確認し,契約書に記載して合意を得るようにしましょう。

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