Slight negligence(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,Slight negligenceがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「軽過失」という意味で使用されます。
「軽過失」は文字通り軽い過失を指します。ただ,日本法でいうと,軽過失という概念があるわけではなく,軽過失というのは重過失と区別して使う概念です。
つまり,「過失」と「軽過失」は同じ概念ということになります。
「過失」とは,「結果を予見することができたにもかかわらず、注意を怠って予見しなかった」というようなことを意味します。
日本の法律では,債務不履行責任や不法行為責任を生じるためには,それぞれ帰責事由と過失を要求しており,これらはほぼ上記の過失と同じ意味を持つと考えて良いかと思います。
そして,重過失というのは「重大な過失」を意味するのですが,重過失とは,「僅かの注意をすれば容易に有害 な結果を予見し,回避することができたのに,漫然と看過した」というような,ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態をいうとされています。
この重過失以外の過失を軽過失と呼ぶのが通常です。
そして,英文契約書では,たまに「軽過失によって相手に損害を与えても賠償責任を免れるが,重過失または故意による場合は賠償責任を免れない」と書かれています。
この重過失は免責されないが,それ以外の過失=軽過失は免責されるという文脈で軽過失(slight negligence)という用語が登場することがあるのです。
ちなみに,重過失は英語ではgross negligenceといい,故意は通常willful misconductといいます。
契約書において,損害賠償責任(indemnification)は非常に重要です。また,当然ですが,これに関わる免責(disclaimer)条項も大切です。
こうした損害賠償・補償責任に関する条項において,slight negligenceやgross negligenceという用語が登場することがありますので,その際には,どのレベルの過失がどのような内容の責任を生じ,また,免責をされているのかを吟味するようにしましょう。
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