Vessel(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Vesselがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「船舶」という意味で使用されます。
国際取引では,国境をまたいだ貨物輸送が必要になりますので,多くの場合,空輸や海上輸送により商品が輸送されます。
海上輸送を選択する場合には,vessel(船舶)が使われますので,vesselという用語も英文契約書に登場することがあります。
航空機による空輸は,早いというメリットがありますが,大量に運搬できないですし,コストがかかります。
そのため,国際取引・貿易の商品輸送としては海上輸送が多く選択されています。
なお,Incoterms(インコタームズ)(国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則のことを指し,International Commercial Termsが正式名称)の貿易条件を選択する際には,航空便か船便かでグループが分かれていますので,注意しましょう。
インコタームズ2010やインコタームズ2020は,11種類の貿易条件を用意していますが,これらは2つのグループに分類されています。
第1グループは,「いかなる単数または複数の輸送手段にも適用する規則」で,第2グループは「海上及び内陸水路輸送に適用する規則」となっています。
そのため,第2グループに分類されている貿易条件を航空便のために選択するのは,間違いということになりますので,注意して下さい。 航空便を選択する際には,第1グループに分類されている規則から選択するのが正しいことになります。
もっとも,航空便を選択しているのに,インコタームズ2010やインコタームズ2020の第2グループの規則から貿易条件を選択している英文契約書も見られます。
このような場合は,当事者の意思を解釈し,船舶の考えを航空機に当てはめて,危険負担(Risk of Loss)の移転時期などを決めることになるのだと思います。
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