Forecast(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Forecastがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,通常,「予想/予測」という意味で使用されます。
英文契約書には頻出する用語の1つです。
様々な英文契約書で見られる用語ですが,よく見られるのは,基本売買契約(Basic Sales Transaction Agreement)販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)や製造委託契約(Manufacturing and Supply Agreement)などです。
Forecastが使われる場面は,例えば,基本売買契約の買主や販売店契約の販売代理店がサプライヤーに対し,四半期に一度,将来の発注量の予測を伝える義務を負うと定めるような場面です。
サプライヤーとしては,商品の製造に備えたり,利益予想をしたりする必要性から,事前にある程度の発注予測を知っておく必要があるため,このような条項が設けられます。
また,製造委託契約(Manufacturing and Supply Agreement)でも,製造委託者が受託者に対して,発注予測を伝える義務を課されることがあり,この場合もforecastという用語が使われます。
このforecastと似て非なる概念が最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)という概念です。
この最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)は,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)などによく登場しますが,こちらは,達成が義務付けられているノルマであり,もし販売代理店がその数値を達成できないと,契約解除などのペナルティを受けることに繋がることになります。
これに対し,forecastという用語が使用された場合,通常,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)とは異なり,法的義務ではなく,あくまで法的拘束力のない予想・予測として扱われることになります。
もっとも,単にforecastとしただけでは,必ずしも法的な拘束力のない単なる予測を表し,ノルマにはならないと保証されるわけではないため,forecastがどういう法的性質を持っているのかについて,きちんと契約書で明らかにするほうが安全です。
販売代理店として,法的拘束力のある(legally binding)最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)を受け入れることが難しい場合は,forecastとして定めることを交渉することもよくあります。
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