【英文契約書の相談・質問集(特別編)】新型コロナウイルスの蔓延による契約違反は免責されますか。

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「新型コロナウイルスの蔓延による契約違反は免責されますか。」というものがあります。

 国際取引で英文契約書を交わしている場合,契約違反・債務不履行があった場合に,損害賠償責任などを負うのか,免れるのかというテーマについては,通常,Force Majeure(不可抗力)という条項に記載されています。

 Force Majeureは,フランス語で,日本では通常「フォースマジュール」と呼ばれています。

 もし,Force Majeure(不可抗力)条項が契約書に記載されていない場合は,その契約に適用される法律(準拠法・Governing Law)が不可抗力による契約違反・債務不履行の場合の責任についてどのように定めているかに従うことになります。

 ちなみに,日本法の場合は,債務不履行責任を追及するためには,債務不履行を行った当事者に帰責事由(その当事者の過失のような責めに帰すべき事由)を要求しています。

 そのため,契約書に不可抗力の免責が明記されていなくとも,準拠法が日本法になる場合には,不可抗力による債務不履行の場合には,法律により免責される可能性があります。

 これに対し,契約書にForce Majeure(不可抗力)条項がある場合には,その内容に基本的に従うことになります。

 一般的に,Force Majeure(不可抗力)条項には,「天災(Act of God),戦争,ストライキ…」などと,不可抗力事由に該当する事象が具体的に挙げられています。

 そして,その後に,それらの具体的事象のほか,当事者がコントロールできない事由すべてが含まれるなどと包括的な用語が入っていることがあります。

 そのうえで,不可抗力に該当する事由により契約違反・債務不履行が行われた場合,契約違反・債務不履行をした当事者は,その責任を免れると免責が定められていることが多いです。

 そのため,契約違反・債務不履行を行った当事者としては,当該契約違反・債務不履行が,不可抗力事由によるものだと立証できれば,免責を受けられることになるわけです。

 では,新型コロナウィルスなどのウィルスによる疫病・感染症の蔓延は不可抗力事由に当たるのでしょうか。

 この点,契約書の不可抗力事由に「疫病(epidemic)」が具体的例として挙げられていれば,新型コロナウィルスなどのウィルスの蔓延が「疫病(epidemic)」に該当するレベル(各国政府の見解やWHOの見解などが参考になると思います)であれば,それを原因とした契約違反・債務不履行については免責されると考えられます。

 ただ,仮に新型コロナウィルスなどのウィルスの蔓延が「疫病(epidemic)」に該当するとしても,当該契約違反・債務不履行が,その「疫病(epidemic)」を原因として起こったのかについても立証できなければ,免責の効果は受けられません。

 仮に「疫病(epidemic)」が蔓延していても,その債務の履行に影響がなく,義務を履行できなかった実際の原因は別にあるような場合は,不可抗力免責が受けられない可能性があります。

 また,通常,金銭債務の履行(金銭の支払義務)については,不可抗力をもってしても,免責されませんので注意して下さい。

 銀行業務が縮小されていて振り込みができないとか,新型コロナウィルスなどのウィルスの蔓延により売上が低下し資金繰りが厳しいなどの理由で金銭の支払いが遅れた場合には,免責にならないのが一般的です。

 金銭債務の履行については免責にならないことが契約書に明記されていることもありますが,明記されていなくとも,通常は上記のように考えられと思いますので,ご注意下さい。

 なお,もしForce Majeure(不可抗力)の免責条項に「疫病(epidemic)」が具体例として挙げられていなければ,Force Majeure(不可抗力)条項の書きぶりによって解釈が分かれてくると思われます。

 前述したとおり,不可抗力事由として具体的に挙げられているのは,あくまで例示列挙であり,そこに挙げられている事由に限るという制限列挙・限定列挙の趣旨ではないと解釈できるのであれば,新型コロナウィルスなどのウィルスの影響度合いによって不可抗力事由に該当すると認められることがあると思われます。

 反対に,不可抗力事由がそこに挙げられている事由に限定すると読める場合には,「疫病(epidemic)」が明示されていない以上,免責は否定される方向に解釈される可能性が高いでしょう。

 このように,Force Majeure(不可抗力)条項の書き方により,新型コロナウィルスなどのウィルスの蔓延による疫病・感染症が不可抗力免責の事由になるかどうかが左右される可能性があるので,書き方には注意が必要でしょう。

 免責を受けられるようにするためには,はっきりと「疫病(epidemic)」という文言を契約書に入れておいたほうが無難だと思います。

 ただ,あらゆる不可抗力の事象を挙げ切るのも難しいと思いますので,前述した例のように,最後は包括的な内容を入れておき,当事者のコントロールが及ばない不可抗力の場合には,例示されていない事象も含まれるとしておくと良いかと思います。

 そして,実際に契約違反・債務不履行をした際に,相手方から損害賠償請求や契約解除のクレームレター(Claim Letter)を受け取ったとしましょう。

 その場合は,Force Majeure(不可抗力)により契約違反・債務不履行になったことを主張し,免責の効果を享受する旨を記したカウンターのレターを出しましょう。

 実際にForce Majeure(不可抗力)の事由に該当するかどうかは,準拠法を定めている国の判例などを分析する必要もあるでしょう。

 そのうえで,できれば弁護士など法律の専門家に見てもらったり,書いてもらったりした反論書を提出すると良いでしょう。

 その後は,弁護士同士による交渉が行われ,争いが深刻化した場合には裁判(Litigation)や仲裁(Arbitration)に発展することもあるかもしれません。

 いずれにせよ,深刻な紛争を避けるためには,まず明確な契約書を作ることが何よりも大切です。

 そのため,Force Majeure(不可抗力)免責をきちんと明確化しスキのない英文契約書を用意するようにしましょう。

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