スイスの法制度
日本企業が販売代理店(Distributor)を指名してスイス進出する際,以下のようなスイスの法制度に注意したほうが良いでしょう。
① 販売店(代理店)保護法
スイスでは,代理店契約(Agency Agreement)の代理店(Agent)については,Swiss Code of Obligationsにより保護されています。
ただし,上記は代理店契約のための法律であり,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に直接適用されるものではありません。
もっとも,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)の販売店販売店(Distributor)についても,最高裁(Swiss Supreme Court)判決により一定の保護が与えられています。
例えば,サプライヤーが販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を終了させるときに,一定の要件を充たすと,サプライヤーは販売店に対し補償金の支払いが義務付けられます。
具体的には,サプライヤー側が販売店に対し,最低購入数量/金額(Minimum Purchase Quantity/Amount)や最低在庫量(一定の在庫を常に保たなければならない義務)を設定していたり,一方的な価格変更や販売条件を飲むように要請したりしていると,サプライヤーが販売店に対し補償金支払わなければならない可能性が高まるとされています。
要するに,サプライヤーが販売店を実質的に強くコントロールしていると,それだけ補償金の支払いをしなければならない可能性が高まると整理できると思います。
また,もし補償金の支払義務が発生する場合の金額は,一定期間の販売店の利益相当額を上限として決定されることになっています。
② 登録制度
スイスでは,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)を当局に登録しなければならないという制度はありません。
そのため,当局への登録が原因で,旧販売店との契約を解消して新販売店との契約に移行するのが困難になるなどの事情も存在しないといえます。
③ 言語
販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)に関し特に言語的な制約はなく,英文契約書の締結が可能です。
④ 準拠法・紛争解決
販売店契約に関して準拠法の制限はなく,外国法を準拠法としても原則としてそのとおりに効力が生じます。
スイスもニューヨーク条約に加盟しているので,国際紛争解決手段としては,国内外での仲裁手続を選択することがあります。
以上が,日本企業がスイス企業を販売店として指名し同国に進出を考える際に最低限知っておいたほうがよい法制度の概要です。
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