| 英文 Employment Agreement(雇用契約書)の作成・リーガルチェック・翻訳 Employment Agreement(雇用契約書)は,会社が従業員を雇用する際に締結する契約書です。海外現地法人での現地採用,日本企業が外国人を国内雇用する場合,日本人従業員を海外赴任させる場合など,国際的な雇用場面で必要となります。雇用契約は他の商業契約と異なり,各国の労働法規制(強行法規)が契約内容より優先されるという特徴があります。解雇条件・競業禁止・報酬設計を誤ると,現地法により契約が無効となったり,多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。当ページでは実務上重要な条項と弁護士としての注意点を解説します。 こんな企業・方からのご相談をお受けしています
契約締結時に弁護士がチェックする主要条項 雇用契約は各国の強行法規が適用されるため,以下の条項は特に慎重な設計が必要です。 ① ⚠ 準拠法と適用される労働法規制 雇用契約で最初に確認すべき最重要事項です。各国の労働法の多くは強行法規であり,当事者が異なる内容を合意しても法律が優先適用されます。日本企業が外国人を日本で雇用する場合も,海外現地法人が現地従業員を雇用する場合も,適用される労働法制を事前に専門家に確認することが不可欠です。準拠法を日本法としても,現地強行法規が適用される余地があります(法の適用に関する通則法第12条)。 ② 業務内容・就業場所・勤務時間(Job Duties, Location & Hours) 従業員がどこで・何を・何時から何時まで行うかを明確に定めます。契約の名称が「委任契約」「業務委託」であっても,実態が時間・場所・業務内容を拘束する雇用関係であれば,労働法が適用されることがあります。業種・業態によっては雇用契約でなく業務委託の形をとることもありますが,実態に合った契約形式の選択が重要です。 ③ ⚠ 給与・報酬・手当・福利厚生(Compensation & Benefits) 基本給・賞与・各種手当・福利厚生を明確に定めます。現地の最低賃金・時間外労働の割増賃金規制・社会保険・税務上の取り扱いは国によって大きく異なります。特に海外赴任の場合は,赴任手当・住居費・教育費補助・帰国交通費なども含めた報酬パッケージの設計が必要です。現地法令に違反する報酬条件は,行政処分・民事訴訟のリスクがあります。 ④ 雇用期間(Term of Employment) 無期雇用(at-will / permanent)か有期雇用(fixed-term)かを明確に定めます。日本では一定回数更新した有期雇用が無期転換となる規制(労働契約法第18条)がありますが,海外でも有期契約の上限回数・上限期間・更新拒絶の手続きに関する規制が設けられている国が多くあります。海外赴任の場合は赴任期間・延長条件・帰任条件も規定してください。 ⑤ 休日・休暇(Holidays & Leave) 年次有給休暇・病気休暇・育児休業・公休日など休日・休暇に関する条件も,各国の法律で最低基準が定められていることがほとんどです。法定基準を下回る内容を契約書で定めても無効となります。現地の弁護士・専門家と連携し,適法な内容で設定してください。 ⑥ ⚠ 解雇・退職条件(Termination for Cause / Without Cause) 解雇事由(Termination for Cause)と解雇手続き・予告期間・解雇補償(Severance Pay)を明確に定めます。多くの国では解雇規制が厳しく,正当な理由がない解雇(Wrongful Termination)は多額の損害賠償につながります。退職時の引き継ぎ義務・未払い賃金の精算・競業禁止期間の起算点なども合わせて規定してください。 ⑦ ⚠ 競業禁止・秘密保持・勧誘禁止(Restrictive Covenants) 退職後の競業禁止(Non-compete Clause)・秘密保持(Confidentiality)・顧客・従業員への引き抜き禁止(Non-solicitation)はいわゆる「Restrictive Covenants(制限的条項)」と呼ばれます。競業禁止条項は,期間・地域・業種の範囲が合理的でなければ,国によって無効となる場合があります。特に米国・英国・EU諸国では裁判所による合理性審査が厳しいため,弁護士によるドラフトが不可欠です。 ⚠ 強行法規の罠 ― 契約書で合意しても労働法が優先される
雇用契約が他の商業契約と根本的に異なるのは,各国の労働法が強行法規であることです。たとえ会社と従業員が合意していても,法定最低賃金・残業代・有給休暇・解雇手続きに関する法律の基準を下回る条件は契約書に書かれていても無効となります。
特に注意が必要なケース: Employment Agreement で弁護士が必要な理由
よくある質問(FAQ) Q. Employment Agreement と Employment Contract の違いは何ですか? A. どちらも「雇用契約書」を指す英語表記で,実質的に同じ内容の契約書を指します。米国では "Employment Agreement" や "Offer Letter" という名称が多く,英国では "Contract of Employment" や "Statement of Particulars" が一般的です。名称よりも内容(労働条件・解雇条件・競業禁止等)が重要で,現地の法律要件を満たしているかが問われます。 Q. 準拠法を日本法にすれば,現地の労働法は関係ありませんか? A. 関係なくなるわけではありません。「法の適用に関する通則法」第12条により,従業員が現地法(または日本法)の適用を主張した場合,現地の強行法規が適用される余地があります。特に解雇規制・最低賃金・残業規制など,労働者保護を目的とした規定は,準拠法の選択にかかわらず適用されることがあります。海外赴任・現地採用のいずれも現地法の調査が不可欠です。 Q. フリーランス・業務委託契約の形をとっていれば雇用関係は生じませんか? A. 契約の名称(業務委託・委任等)ではなく,実態(時間・場所・業務内容の拘束性,指揮命令関係の有無等)によって雇用関係の有無が判断されます。実態が雇用と認定されれば,労働法の強行規定が適用され,未払い残業代・解雇補償・社会保険料等の支払い義務が生じます。「偽装請負」リスクを避けるためにも,契約形式の選択前に弁護士への相談を強くお勧めします。 Q. 退職後の競業禁止条項(Non-compete)を設けたいのですが,どの程度有効ですか? A. 有効性は国・地域によって大きく異なります。米国ではカリフォルニア州など競業禁止条項を原則無効とする州があります。英国・EU諸国では,期間・地域・業種の範囲の合理性が厳しく審査されます。日本でも不合理な制限は公序良俗違反で無効になります。代償措置(補償金の支払い)を定めることで有効性が高まる場合もあります。現地法の専門家と連携して設計することが重要です。 Q. 従業員が職務中に作成した発明・著作物の知的財産権は会社に帰属しますか? A. 国によってルールが異なります。日本では職務発明規定(特許法第35条)があり,一定条件下で会社に特許を受ける権利が承継されますが,相当の利益(報奨金)の支払いが必要です。著作権については日本法上「法人著作」の要件を満たせば会社に帰属しますが,海外では異なる扱いがある国もあります。雇用契約書の中にIP帰属条項(IP Assignment Clause)を明示的に設けることで,後のトラブルを防ぐことができます。 Q. 英文 Employment Agreement の作成・リーガルチェックの費用と納期はどのくらいですか? A. 契約書の内容・ページ数・作業内容(作成・チェック・翻訳)によって異なります。見積り依頼から当日または翌営業日中に回答します。正式ご依頼まで料金は発生しません。契約書を添付してお問い合わせいただければ,内容を確認した上で正確な見積もりをお伝えします。 【注意事項】本ページの内容は一般的な解説を目的としており,個別の案件に対する法的アドバイスではありません。Employment Agreement の各条項の解釈・有効性は準拠法および相手国の労働法・強行規定によって異なります。実際の契約書の作成・審査にあたっては,必要に応じて現地の弁護士にもご相談されることをお勧めします。
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