日本企業がイギリスに子会社を設立し,事業を営む場合に注意した方が良い法理論に「法人格否認の法理」(piercing / lifting the corporate veil)という考え方があります。
特に,100%独資で設立した子会社の場合,注意が必要です。
この法人格否認の法理を,簡単に説明します。本来親会社である日本法人とイギリスの子会社とは,別の法人格(legal entity)を持っていますから,例えば,子会社が取引先や消費者に損害を与え,これを賠償しなければならない事態になったとしても,原則として日本法人には当該賠償義務はないことになります。
ところが,この法人格というヴェールを一時的に剥ぎとってしまう(lifting the veil)理論が法人格否認の法理です。
もっとも,英国法では法人格の独立性が強く尊重されており(Salomon v A Salomon & Co Ltd [1897] AC 22),親会社が子会社を全面的に支配しているというだけでは法人格は否認されません(Adams v Cape Industries plc [1990] Ch 433)。最高裁判決Prest v Petrodel Resources Ltd [2013] UKSC 34は,法人格否認が認められるのは,既存の法的義務や責任を回避する目的で支配下の会社を介在させた場合に限られると判示しています。他方で,例えば,役員すべてが日本人で構成され,取扱商品もすべて日本法人が製作し,オペレーションについても逐一日本法人の指示に基づいて事業を行っているというような場合には,法人格否認とは別に,親会社が子会社の事業に実質的に関与していたことを理由として,親会社自身が被害者に対し不法行為法上の注意義務を負うと判断されるおそれがあります(Chandler v Cape plc [2012] EWCA Civ 525,Vedanta Resources plc v Lungowe [2019] UKSC 20など)。
法人格否認の法理は,あくまで例外的な概念であり,特に英国法は上記のとおり日本の「法人格否認の法理」よりも厳格で,法人格が否認される場面は限定的です。もっとも,英国以外の国では,より緩やかな要件で同様の理論が適用されることもあります。
したがって,日本企業は,役員構成やオペレーションについて子会社の実体が形骸化しないように手当をする必要があると言えます。
英国法業務に関するお問合せ,見積依頼はこちらからお気軽にどうぞ。
正式にご依頼頂くまでは料金は一切かかりません。
原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。
まずはお気軽にご相談・見積依頼をどうぞ(守秘義務により秘密厳守)
正式ご依頼まで料金不要/当日または翌営業日中に見積回答
お問合せフォーム・メールがスムーズです
問合せフォーム24時間受付中
担当:弁護士 菊地正登(キクチマサト)
受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝日
※契約書を添付して頂ければ見積回答致します
受付時間:24時間
英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),累計相談実績2,925件の弁護士菊地正登です。弁護士歴23年(国際企業法務歴17年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引を中心に取り扱い,高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。
弁護士・事務所情報
取扱い国際企業法務
料金・顧問契約・顧問料
サービスの特徴・顧客の声
英文契約書の有益情報
資料請求・メルマガ購読
〒108-0014
東京都港区芝5-26-20
建築会館4F
都営三田線・浅草線三田駅またはJR田町駅から徒歩約3分です
9:00~18:00
土日祝日
各士業の先生方,翻訳業者,保険会社,金融機関のお客様の英文契約書に関する案件についてお手伝いさせて頂いております。
ご紹介頂いたお客様の初回相談料は無料ですので,お気軽にお問合せ下さい。
メール・電話・Web会議による対応を行っております。