法務部員が英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に役に立つ英米法の基礎知識です。
Intermediate(インターミディエイト)/Innominate(イノミネイト)条項 とは,他の二者の保証条項であるWarranty(ワランティ)とCondition(コンディション)のちょうど中間の効果を持つような条項です。
すなわち,効果としては,損害賠償請求は常に可能であり,さらに契約解除が認められる場合があり得るのですが,解除については,契約違反の内容・程度がその違反事実により本来の契約目的をもはや達成できない程に重大な場合にのみ認められる(損害賠償はそのような程度の違反がなくても認められます)というものです。
損害賠償請求権を生じる点は,他の二者と同じですが,契約違反があっても常に解除が認められるものではない点がconditionと異なります。
保証条項がintermediate/innominate clause(インターミディエイト/イノミネイト条項)であると解釈される傾向にあるのは,違反の程度が変化し得るような場合です。
違反の程度を観念できる場合は,その違反の軽重によって救済措置を解除まで拡大させるかを柔軟に判断することが適当だと考えられる場合が多いためでしょう。
著名な英国判例として,The Hong Kong Fir [1962] 2 QB 26; [1961] 2 Lloyd’s Rep 478事件(香港ファー事件)があります。
このケースでは,傭船契約における船舶の堪抗能力(seaworthiness)具備を要求する条項がintermediate条項と判断され,船主の堪抗能力保持義務違反の程度により,解除権行使の可否を決すべきだとされました。
仮に違反の程度が根本的なもので,契約の根幹に関わる程度(相手方当事者が実質的に契約の利益全てを奪われるような場合)(substantially deprived the innocent party of the whole benefit of the contract)であれば,解除を認めると判断されています。
そして,本事案では,本来の傭船期間が24ヶ月である傭船契約において,5ヶ月間を超える期間にわたって不堪抗により船舶を使用できなかったとしても,未だその程度は十分ではなく解除は認められないと判断されています。
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