英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく登場する英文契約書用語に,Lienがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,基本的には「留置権」を指します。
留置権は,possessory liensとも言います。留置権とは,例えば,目的物を補修したが補修代金の支払いが未了の場合に,その支払いを受けるまでは,目的物を所有者に返還せず,留めおくことが可能である権利を指します。
債務者は,目的物の変換を受けるためには,債務を弁済しなければならず,これにより債務者の支払いが促されます。また,それでも代金が支払われない場合,目的物の競売も可能である場合があります。
Liensは「先取特権」を指すこともあります。
例えば,maritime liensというものが英国法で認められていますが,これは日本法でいうところの船舶先取特権に相当する概念です。
英文契約書では,商品や権利を売買する際に,売主が買主に対して,「当該商品や権利に第三者のLienなどは付いてなく,完全な所有権がある」ことを表明し保証する(Representations and Warranties)という条項で使用されることがあります。
例えば,The Seller represents and warrants to the Buyer that the title to the Products is free from any third parties' rights such as liens...(売主は,買主に対し,本件商品の所有権が,例えば留置権などあらゆる第三者の権利が付着していない…ことを表明し保証する)などと使用されます。