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 Employment Agreementとは,日本語でいうと雇用契約のことです。

 

 英文で雇用契約書を作る際には,概ね以下の点に注意が必要です。

 

  • 1
    各国の労働法に注意

 雇用契約に適用される各国の労働法制の多くは,強行法規/強行規定であると考えられます。

 

 強行法規/強行規定とは,一定の要件を充たせば,その法規が適用され,仮に当該法令と異なる内容の合意を当事者がしていても,その合意を無効としてしまう法令のことを指します。

 

 したがって,例えば,日本で,日本企業が外国人労働者と雇用契約を締結する際に,自由に条件を定められるわけではありません(法の適用に関する通則法第12条参照)。

 

 日本の各種労働法規制は,労働者保護の観点から強行法規/強行規定が多く,当事者の合意を無視して強制的に法律の内容が適用されるからです。

 

 このことは,例え従業員が「私は雇ってもらっているだけでありがたいので,残業代はいりません」と言っていても,会社は残業代の支払いを免れることはできないことから容易に想像できると思います。

 

 したがって,例えば外資系の日本企業が雇用していて日本で働いている労働者との間で準拠法を外国法としていたとしても,当該労働者が日本の労働法適用の意思を表示すれば,日本の労働法が適用される余地がある(法の適用に関する通則法第12条第1項)のです。

 

 日本企業が自社の従業員を海外に赴任させる場合にも注意が必要です。

 

 現地に赴任する従業員との間で準拠法を日本法とする旨の合意をしていないと,法の適用に関する通則法第12条第3項により,現地の労働法が適用される余地があります。

 

 また,従業員と日本法を準拠法とする旨の合意をしていたとしても,現地法により労働者保護の強い強行法規/強行規定が存在していた場合に,当該従業員が現地法の適用を主張した場合,その法律が適用される可能性があります(法の適用に関する通則法第12条第1項)。

 

 同様に,現地法人が現地の労働者と雇用契約を締結する場合は,適用がある労働法制を十分に理解して不測の事態を招くことがないように慎重に内容を検討する必要があります。

 

 国によっては不法就労に加担した経営者に過酷な罰則があります。

 

  • 2
    業務内容・時間(期間)・場所

 従業員がどこで,何時から何時まで,いつまで(雇用期間),どのような業務を行うのかについて決定する必要があります。

 

 なお,業種によっては,雇用契約の形態をとらず,委任や請負契約などにして使用者が被用者を働かせる場合もあります。

 

 当該契約が雇用契約なのか,委任・請負契約なのかを決定する要素は,当然ながら,契約の名称ではなく,実質的な内容です。

 

 したがって,タイトルに委任契約と定めていても,実体が労働者を時間・場所・業務内容面でかなり拘束しているということがあれば,雇用契約と認定される可能性があります。

 

 契約の性質は,形式的なタイトルなどで決まるのではなく,あくまで実体が見られるということは覚えておいて下さい。

 

 雇用契約と認められれば,当然雇用契約に適用される法規が適用になりますから,事前に内容について慎重に検討する必要があります。

 

  • 3
    給与・報酬・手当

 

 従業員の労働の対価として,給与,報酬,手当などを決定して定める必要があります。

 

 繰り返しになりますが,委任契約などと異なり,労働契約の場合,労働法により労働者保護のための一定の規制がある場合がほとんどです。

 

 最低賃金なども,国によって異なりますが,設けられている場合がほとんどでしょう。

 

 したがって,現地の弁護士など専門家に照会し,法令違反にならないように,十分に適用法令を理解し,適法な内容の雇用条件を定める必要があります。

 

  • 4
    雇用期間

 

 当該従業員をいつからいつまで雇用するのか雇用期間を定めます。

 

 日本の無期雇用や有期雇用など,雇用期間に関する現地の法規制には注意しましょう。

 

 日本企業が日本で外国人を雇用するために英文の雇用契約書を作成する際も,雇用期間について誤解が生じることがないよう,十分説明したうえで書面を取り交わすことが重要です。

 

  • 5
    休日・休暇

 休日・休暇についても適用法の制限に従って取り決める必要があります。

 

  • 6
    解雇条件等

 労働契約の終了に関する条件についても取り決めておく必要があります。

 

 更新のほか,解雇事由,労働者の都合による退職の場合の予告期間などについて規定します。

 

  • 7
    社会保険など

 社会保険,雇用保険などに相当する各種保険などの労働条件についても記載することになります。

 

 なお,日本のように現地法や現地判例により解雇規制などが定められていることがありえますので,それらに反することがないように注意することが必要です。 

 

 以上のように,Employment Agreement(雇用契約)は,法律の規制が多いため,他の種類の契約よりも自由度が低いのが特徴です。

 

 現地法を調査しつつ法律に適合したものを作らないと,大きな潜在的リスクが眠っているということになりかねないので,注意が必要です。

 

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