「英文契約書のポイント」,divisible contractsについての解説です。
契約上の義務に部分的な履行を観念できる場合があります(divisible contracts)(Taylor v Webb [1937] 2 KB 283など)。
例えば,建築請負契約などにおいては,建物の完成度合いが観念できます。具体的には,建物の土台が完成した状態,骨組みができた状態,外壁までできた状態などです。
このような場合,完成に至らずとも,終了した段階の出来高に応じて報酬を請求できると判断される場合があります。
また,類似の問題として,請負人が契約に定められた仕事のほとんどを完成させた(substantial performance)が,細部に欠陥があるという場合に,注文者が請負人に契約違反があるとして報酬金全額の支払いを拒絶できるかという問題があります。
このような場合,ケースによっては,注文者の報酬金全額の支払い拒絶は認められないと判断されることがあります。注文者は,あくまで細部の欠陥を損害として金銭換算し,その額を本来の報酬額から控除し,残額の支払いをしなければならないという判断がされているケースがあります(Hoenig v Isaacs [1952] 2 All ER 176)。
小さな欠陥を理由に,報酬の全額の支払いを拒絶できるとするのは,不公平ですし,社会経済にとっても損失だと考えているものと思われます。
もっとも,このような判断は明確な基準の下に出されるものではないですから,divisible contractの性質を有する契約を締結する場合には,段階ごとにどのように報酬等を扱うのか,事前に当事者間で明確に合意しておくことが賢明です。
さらに,商品の数量を指定して購入するいわゆる数量指示売買などで,目的物の一部しか引渡しがされなかった場合の問題も類似のものとして想定できます。
この場合,約定どおりの全部の履行がありませんから,買主は一部だけ提供されたとしても,この受領を拒絶できます。しかし,仮に買主が一部の履行としてこれを受領してしまった場合,その範囲で,代金の支払義務を生じます。
量的な問題以外に,時期の問題もあります。売主の商品引渡しが合意した時期より遅延した場合,契約違反となるので,買主は同商品の受領を拒絶できます。しかし,買主が任意にこれを受領した場合には,後から気が変わって受領を拒絶したいと思っても,estoppelの理論によりこれが許されなくなることがあります。
また,商品引渡し遅延の場合に,仮に,買主が売主に対して,後1週間だけ猶予を与えると条件を付した場合には,延期された1週間中に引渡しがされれば,買主は受領を拒絶できなくなります。
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