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 Stock Purchase Agreementとは,株式譲渡契約書のことです。

 

 事業買収の一形態で,買収対象会社の株式を買収会社が買い受ける方法により,事業を買収する方法です。

 

 株式譲渡契約を締結するにあたり,注意する点は主として以下のとおりです。 

 

  • 1
    デューデリジェンス(Due Diligence)

 株式の譲受により会社を買収するということは,買収対象会社はそのまま存続し,ただその株主が交代することを意味します。

 

 したがって,買収会社にとってみれば,対象会社が思わぬ簿外債務を負担していたり,訴訟提起などの法的リスクを抱えていた場合,買収後にトラブルに巻き込まれ,ひいては事業の存続が危ぶまれることすらありえます。

 

 そのため,Stock Purchase Agreementを締結する前に,会計,法務などの観点から,対象会社を調査する(Due Diligence)(DD)ことが通常です。

 

 このDDの実施方法や条件については,Letter of Intent(LOI)Memorandum of Understanding(MOU)で取り決めることが一般的な実務です。

 

  • 2
    表明保証条項

 DDを実行した結果,買収実行の判断が出されてはじめてStock Purchase Agreementを締結することになります。

 

 DDを実施したとはいえ,簿外債務や法的問題の顕在化リスクは完全には払拭されません。

 

 なぜならば,場合によっては株主が意図的に隠していることもあります(いわゆる新興国進出事案では実際に聞いたことがあります)し,意図的でなくとも気が付いていないという場合もあるからです。

 

 そのため,株式譲渡契約の時点または株式譲渡の実行(クロージング)時点で売主が表明した内容が真実であることを表明させ,これと事実が異なることが判明した場合,損害賠償などの責任を売主が負うという条項を定めます。

 

 表明責任の賠償限度額を定めることもあります。

 

 もっとも,このような表明責任を定めたとしても,売主が実際に賠償する資力と意思を有していなければ,やはり後にトラブルになります。

 

 そのため,特に紹介の伝手などで浮上したいわゆる新興国の事業を買収する際などには,相当に注意する必要があります。

 

 また,事後的に仮に売主が表明保証した内容と真実が異なったということが判明した場合に,事業譲渡契約を解除できると定めることもあるでしょうが,その実効性には注意が必要です。

 

 なぜなら,事業譲渡をClosingする際に,リース物件や従業員などを買主が引き継いでいる場合が多いですから,これを元に戻すのもこれらの関係者の承諾が必要だからです。

 

 なんでもそうですが,契約書で完璧にリスクを消滅させることは不可能に近いです。何よりも大事なのは「信用性」です。

 

  • 3
    対象株式・代金・クロージング

 

 当然ですが,どの株式(会社によって種類株式を発行している場合があり,そのうちどの株式であるのかは重要な関心事です)を何株買うのか,いくらで買うのか,いつこれを実行(クロージング)するのかについて取り決める必要があります。

 

 代金の算定は,会計上の考慮要素のほか,DD実施後の対象会社の状態を基に決定されます。

 

 なお,Asset Purchase Agreement(事業譲渡)の場合と異なり,対象会社の資産や知的財産などの権利の一切は対象会社から移転させる必要がありません。

 

 したがって,例えば,対象会社のライセンサーに改めてライセンスの使用許諾などを取り付ける必要はありませんし,売主・買主の売買の対象にこのような財産は入ってきません。前述のとおり,あくまで株主の交代にすぎないためです。

 

  • 4
    デッドロックなどの問題

 買収対象会社の株式全部を購入する場合,会社の意思決定についてデッドロックとなることは想定されません。

 

 しかし,同率の株式を購入し,売主と共同で事業を行うなどの場合,売主と買主との間の経営方針が異なることとなった時,どのようにしてこれを解決するかは非常に難しい問題です。

 

 解決方法としては,協議をまずすることを義務付けて,解決しなければ最終決定権をどちらかに付与(いわゆるキャスティングボート)したり,最終的に解決が難しければどちらかが株式を買い取るなどと定めています。より詳しくはJoint Venture(合弁契約)のところで書く予定です。

 

  • 5
    競業避止義務

 対象会社の株式を100%売主から買い取る場合,売主が向こう何年間ある領域(Territory)で,対象会社の事業と競業する事業を営んではならない旨を定めることが通常です。

 

 そうでないと,当該事業に慣れ親しんだ売主が自らまたは第三者と組んで対象会社の顧客を奪ってしまうリスクがあります。

 

 この手の条項は,一般的には競,業禁止期間が長ければ長いほど,競業禁止区域が広ければ広いほど,裁判所によって無効とされたり,一定の条件に限って有効と解釈されたりするリスクが高まるといえるので,準拠法に応じた判例調査などが必要な場合もあるでしょう。

 

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