Ensure and Warrant(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語に,Ensure and Warrantがあります。
これは,英文契約書で使用される場合,よく,ensure and warrant that...としてthat節と共に用いられ,「that節以下を確実なものとし,保証する」というような意味で使用されます。
契約は,契約書にサインした当事者を拘束するのが大原則です。これを,Privity of Contractの原則と呼びます。
そのため,例えば,契約当事者以外の第三者が一定の義務を履行するなどと契約書に書いても,その第三者は契約書にサインはしないため,その第三者はその義務など負いません。
自己のあずかり知らないところで,他人が作った契約書で勝手に義務を負わされるなどということがあり得ないというのは自然な発送だと思います。
したがって,第三者に義務を課したければ,最も直接的な方法は,当該第三者に契約書にサインしてもらうことです。
ただ,このようなことまではできないという場合も多く存在します。その場合に,よく登場するのが,ensure and warrant that...です。
これは,例えば,受託者が第三者に下請けに出した場合,その第三者は,受託者と同様の守秘義務を負い,仮に第三者が守秘義務に違反した場合は,受託者の債務不履行となるなどと規定するときに使用されます。
The Manufacturer ensures and warrants that the third party shall have the same obligations set forth in Article X (Confidentiality) and in case where the third party is in any breach of such obligations, the Manufacturer shall be deemed to be in breach of those stipulated in Article X (Confidentiality).などと規定されます。
上記英文の和訳は「製造者は,第三者が第10条(秘密保持)に定める義務と同じ義務を負うことを保証し,第三者がその義務に違反した場合,製造者は第10条(秘密保持)に定める義務に違反したものとみなされるものとする。」となります。
これによって,受託者が,①第三者に守秘義務を課さなかった,または,②守秘義務は課したが第三者がこれを守らなかった場合に,委託者は受託者に責任を追求する余地が出てきます。これがこのような条項の狙いとなります。