Governing Law(準拠法)(英文契約書によく見られる一般条項の弁護士による解説)

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 英文契約書を作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正する際によく見られる一般条項(General Provisions/Miscellaneous)の一つに,Governing Law(準拠法)条項があります。

 

 クロスボーダー・国際取引では,必然的に2国以上にまたがる当事者が契約に参加するため,契約に関する問題が生じた時に,どこの国の法律を適用して解決するのかということが問題にならざるを得ません。

 

 一般的な2者の当事者での取引の場合,どちらかの国の法律を準拠法にする場合が多いですが,場合によっては中立国の第三国に設定されることもあります。

 

 例えば,日本企業とドイツ企業との取引であれば,日本の法律かドイツの法律が選択されることが多く,場合によって第三国であるスイスの法律などが選択されることになります。

 

 当事者間でどこの国の法律を適用することとするかは,いわゆるBargaining Position(バーゲニングポジション)という当事者の力関係によって決まる場合が少なくありません。

 

 英文契約書において準拠法が外国になると,せっかく規定した契約書の内容が場合によって修正されたり,無効となったりする可能性がありますので,重大な問題といえます。

 

 したがって,準拠法と紛争解決方法,裁判管轄については,他の条項と絡めてしっかりと交渉の舞台に乗せる必要があると言えます。

 

 一般的には,自社が所属している国の法律を準拠法とすることを主張することが多いと思います。

 

 そのため,当事者双方が自国の法律を準拠法とすることを主張し,交渉が平行線をたどり,契約締結ができないということになることも多いです。

 

 ただ,この準拠法は実際には紛争解決条項(裁判管轄・仲裁地)とセットで考えることが通常です。

 

 そのため,必ずしも自国の法律を準拠法にしたほうが有利とは限りません。理由は以下のとおりです。

 

 例えば,日本企業がドイツ企業に対して売掛金の請求について法的手続きを取る可能性があるという取引の場合に,日本法を準拠法とし,裁判管轄を東京地裁としたとします。

 

 この場合,もしドイツ企業が売掛金を支払わず,訴訟をしなければならないという場合,日本企業は東京地裁に訴えて,勝訴判決を得ます。

 

 ところが,ドイツ企業が任意に払わないので,この日本の勝訴判決をドイツで強制執行しなければならないということになった場合,ドイツで判決を取得した場合に比べて非常に大変になるわけです。

 

 こうしたことを考えると,最初から契約書で準拠法をドイツ法とし,裁判管轄をドイツの都市の裁判所としておいたほうが適切であったということもあるのです。

 

 なお,英文契約書に準拠法が書いてあれば,一般的に考えて諸外国で尊重されると考えてよいですが,国によっては,否定される可能性もあります。結局は,当地の裁判所等の判断によると言わざるをえないのです。

 

 もし,契約書で準拠法を定めていなければ,基本的に国際私法・抵触法(Conflict of Laws)という問題になり,紛争が持ち込まれた各国の裁判所の考えに基づいてどの国の法律が適用されるかが判断されることになると考えてよいでしょう。

 

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