In precedence to...(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際に登場する英文契約書用語の一つに,In precedence to...があります。
この英文契約書用語は,通常「…に優先して」という意味で使用されます。
例えば,販売店契約や代理店契約において,契約期間が満了すると,販売店や代理店は取扱商品を売れなくなります。
契約終了後,サプライヤーは,別の販売店や代理店を指名して商品展開しようとします。
これを阻止して,販売店や代理店が契約を継続したいと考える場合,これを補強するために「優先交渉権」などを入れる場合があります。
新しい販売店,代理店候補の提示条件と比較して,同等レベルであれば,旧販売店が契約を継続できるなどと定めておくことがあります。
このように,他に優先して交渉できるなどと定めるときにin precedence to other prospective agencies(他の代理店候補に優先して)が英文契約書用語として登場することがあります。
ケースによりますが,一般的に販売店や代理店は独占契約(Exclusive)で,販売領域(Territory)を広くとった方が販売戦略上有利と言えます。
こうした中で,販売条件や契約の更新についても優先権を得られるようにしたいという発想からこのような条項が入れられることがあります。