英文契約書によくある代金支払リスク・納品リスクとその解決法

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日本の㈱ABC製造(部品メーカー)は,タイの㈱XYZ製造から引き合いを受け,自社製品の輸出について取引を持ち掛けられました。

 

 そこで,英文契約書を作ることになり,条件交渉をしていると,㈱XYZ製造から,「この部品は精密性が何より重要だから,うちの検査基準にきちんと合格するまでは,代金を支払えない。」と言われました。

 

 しかし,本件取引はL/C決済でもなく,一回当たりの取引金額も相当に高額なものです。もし,先に製品を納品して,検査合格しないなどという理由で代金の支払いが遅延したり,支払拒絶,減額要求などに至れば,大きな損害につながりえます。

 

 そのため,㈱ABC製造の社長は,「うちは発注後,代金を全額前払いしてもらってから,製造に着手し納品している。そのため,貴社にもそのように対応してもらいたい。」というスタンスで交渉を継続していました。

 

 しかし,交渉は平行線をたどってしまいました。㈱ABC製造としては売掛回収リスクを負いたくないし,㈱XYZ製造としては,納品の遅延や検査不合格などによる損害発生のリスクを負いたくないというわけです。

 

 ㈱ABC製造の社長は,「では,発注後すぐに50%だけ前払いしてください。そうでないとうちもキャッシュフロー上厳しい。」などとお願いしてもみましたが,㈱XYX製造の方は,「精密機器なのできちんと検査合格しない限り代金は一切払えない。」と一切応じません。

 

 ㈱ABC製造としては,良い話なので何とか取引開始にこぎつけたいのですが,リスクも大きいのでどうしようか思案していました。

 

本事例の解決法

 本事例では,結局,㈱ABC製造の粘り強い交渉の結果,発注ごとにまずサンプル品をいくつか作り,そのサンプルについて検査を行い,サンプル品が検査合格した場合には,70%の代金を先払いしてもらい,残金は引き渡し後の検収合格した場合に支払われるということで合意に至りました。

   

 これによって,代金回収のリスクと納品遅延や欠陥品納品リスクのバランスがとれたものと言えます。

 

 当然ですが,このような合意に至った後は,合意した内容を,誤りなく英文契約書に書き込まなければなりません。

 

 売掛が残ってしまうと,特に国際取引では,回収は相当に困難です。

 

 英文契約書で,準拠法を日本,裁判管轄を日本にしているから,日本の弁護士に頼んで訴訟を提起して回収すれば良いという単純な問題ではありません。



 海外での強制執行は非常に困難を伴います。上記の例で日本の裁判所で勝訴判決を得ても,それに基づき外国にある外国企業の財産に強制執行をかけるのは容易ではありません。

 

 したがって,英文契約書締結の段階でこうしたリスクを十分に洗い出し,それについて,オペレーションレベルであらかじめ手当てを施しておくのが最良の方法であると言えるでしょう。

 

 具体的には,上記の例のように,なるべく前払いを受けられるように交渉し,全額前払いが無理でも,せめて製造原価分は発注時に前払いしてもらうように交渉することが大切です。

 

 仮に製造原価が代金の40%なのであれば,少なくとも代金の40%分を製造着手前に支払ってもらうことにより,万一製造後に買主が製品を引き取らないなどの問題を生じても,赤字になることを避ける狙いがあります。

 

 とりわけ国際取引においては,問題を生じてから事後的に対処するのは非常にコストが大きくなるので,できるだけ未然に防ぐという姿勢で対策を講じる必要があります。

 

 外国で外国の弁護士に依頼して,外国企業を相手に裁判をしたり,強制執行をしたりすることが,多額の費用と膨大な時間を要することは想像に難くないと思います。

 

 契約書で約束をしたのだから,守られなければ裁判すれば良いというような安易な考えは非常に危険です。

 

 まずは実務上のリスクを最大限回避するように交渉し,その内容を契約書に落とし込むのだという意識を徹底する必要があるでしょう。

 

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