英文契約書のJoint Venture Agreement(合弁契約)について解説します。
Joint Venture Agreement(合弁契約)は,例えば,外国企業と日本企業が共同で出資して,日本法人を作ったり外国で外国法人を作ったりするときに締結される契約です。
新しい法人を共同で出資して設立するため,株主となる外国法人と日本法人が,合弁会社をどのように経営・運営していくか,株主から離脱する場合にはどのような条件とするのか,合弁会社を解散する場合にはどのような条件とするのかなど,多くの問題を検討しなければなりません。
① 合弁会社の目的
合弁会社を設立する目的は,様々ですが,通常は,出資者となる企業がもつ何らかの経営資源(人・モノ・情報・知財・ノウハウ)などを共同させることにより,新しい事業や,より強みを活かした事業を展開することが目的とされます。
合弁会社でどのような事業を展開するのか,当然ですが,設立前に十分に協議・検討し,決定しなければなりません。
② 合弁会社の設立
いつまでに,どういう名称の,どの種類の法人を設立するのかを取り決めます。
設立に際しては,現地の会社法や外資の出資規制に関する法律などに従って設立することになります。
③ 出資比率
どの当事者が,何パーセント出資し,何パーセントの議決権を持つのかを取り決めます。
また,増資の場合の条件なども取り決めます。例えば,第三者割当増資などがされると,将来,自分の持ち分が割合的に減少する可能性があるため,取り決める必要があります。
この出資比率,議決権割合は,Joint Venture Agreement(合弁契約)では,最も重要なポイントの一つといえるでしょう。
現地の会社法を調査し,何割以上の議決権を持てば,取締役会を支配できるのか,特別に議決要件が重くなっている事項は何であるか,その決議をするための議決権割合はいくつであるかなどを確認します。
そのうえで,出資比率を決定することになります。
なお,特にいわゆる新興国においては,外国企業の出資比率に制限を加えていることがあり,簡単に合弁会社の支配権を取得することはできないことがあります。
このような場合にノミニー制度などを利用することもありますが,問題がないわけではないですので,実行には慎重なリスク分析が必要になります。
④ 合弁会社の経営・運営
各国で,会社の重要な経営上の意思決定については,取締役決議が必要とされることが多いですが,この決議要件も当然ですが事前に確認しなければなりません。
そのうえで,各当事者が何名ずつ取締役を出すのかなどを決定します。この取締役の員数などは,出資比率に応じて決定するのが通常でしょう。
取締役会の決議要件を確認し,当事者がその要件を満たす数以上の取締役を選任することとなれば,その当事者が経営を支配するということになります。
ただし,一定の意思決定については決議要件を重くすることを合意するのが通常(株主間合意)です。
そうでなければ,合弁会社が特定の当事者に支配されてしまい,共同出資による共同経営のシナジー効果が薄れてしまうためです。
したがって,一定の重要な意思決定(多額の借り入れ,第三者割当増資,株式譲渡,事業譲渡,合併,一定額以上の取引,事業目的の変更,ライセンス契約の締結,重要な資産の譲渡など)については,株主全員の同意がなければできないなどと規定するのが一般的です。
これにより,機動性は失われるものの,特定の当事者の意のままに合弁会社が利用されるという事態は避けられることになります。
また,取締役の選出方法なども取り決めます。
⑤ 株式の譲渡制限
株式を自由に第三者に譲渡できるとなれば,Joint Venture Agreement(合弁契約)の意義が失われてしまいます。
そのため,株式譲渡には一定の要件を定めるのが通常です。また,合弁の当事者が第三者に株式を譲渡する場合には,その他の合弁当事者に先買権(First Refusal Right)を与えることが通常です。
株式譲渡がなされた場合,自動的に合弁契約も終了するという定めを設けることがあります。
⑥ 合弁契約の解消
これは,非常に難しい問題です。合弁事業が残念ながらうまくいかず,途中で解散させたり,当事者の債務不履行などによって合弁契約を解除したりする場合があります。
このような合弁事業の解消の際に,どの当事者がどのような責任を負うのかを取り決めますが,その内容や方法は多種多様です。
また,いくらJoint Venture Agreement(合弁契約)に,そのような内容を記載したとしても,すでに関係の悪化している状況であれば,どの程度履行の実効性があるのかという問題もあります。
解消にあたり株式をどうするのかという点も取り決めます。自己の保有する合弁会社の株式を強制的に相手方に買い取らせる権利(プットオプション)や,相手方が保有する合弁会社の株式を強制的に買い取る権利(コールオプション)などを定めます。
どのような場合にこれらの権利を行使できるのかを明確化し,代金の決定方法も明記します。
それでもトラブルになりやすい場面です。最終的に株式の買取りなどがうまくいかない場合には,会社を清算できるように定めることもあります。
また,そもそも一定の要件を満たした場合には,自動的に解散・清算となるなどと定めることもあります。
合弁会社を解散・清算する場合には,外国で行う場合,大変な困難を伴う場合があります。したがって,解散となった場合をあらかじめ想定して実行可能な体制を組んでおくことが重要です。
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