英文契約書を作成,チェック,翻訳(英訳/和訳),修正する際,ウィーン売買条約についての条項が挿入されているのを見ることが多いと思います。
ウィーン売買条約の正式名称は,「国際物品売買契約に関する国連条約」というもので,英名は「United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods」(CISG)といいます。
ウィーン売買条約の和文テキストや英文テキストは外務省のこちらのページでご覧頂けます。
この条約には日本も加盟しています。これは,異なる国の間で,物品売買をする場合に適用される条約です。
したがって,サービスの提供についての契約や,業務委託契約,コンサルティング契約などの物品売買ではない契約書には適用がありません。
厳密にいうと,例えば,売買基本契約書や販売店契約など継続的な売買に関する取引契約そのものに適用されるのではなく,そうした契約書に基づいて行なわれる個々の売買契約にウィーン売買条約は適用されます。
ウィーン売買条約(CISG)の加盟国間での取引であれば適用されることになります。
また,当事者の一方だけが加盟している場合でも,加盟国の法律が準拠法となる場合もウィーン売買条約は適用されます。
例えば,英文契約書に日本法が準拠法となると書かれていたり,法の適用に関する通則法で日本法が準拠法として判断される場合にもウィーン売買条約が適用されることになります。
なお,条約は法律よりも優先されるため,注意が必要です。
例えば,英文売買契約書において,日本法を準拠法とするとし,民法や商法と矛盾する内容がウィーン売買条約に書かれていたとします。
そうすると,日本の民法や商法よりも上位にあるのがウィーン売買条約ですので,民法や商法ではなく,ウィーン売買条約の内容が適用されることになります。
あらかじめ,ウィーン売買条約の適用を意図していたのであれば問題ないですが,準拠法を日本法とすると書いた意図が,常に日本法で解釈,解決したいというものであり,ウィーン売買条約の存在を知らなかったということであると問題を生じることになります。
よく指摘されるのは,売主にとって不利な内容として,物品の不適合性については,買主からのクレーム提起期間が,ウィーン売買条約では2年間とされており,通常は,6カ月から1年程度と当事者間で定められることが多いため,比較的長いという点です。
また,物品の不適合性について,発見した時または発見すべきであった時から合理的な期間内に売主に対し通知しなければならないとされている点が,買主に不利であると指摘されています。
これ以外にも,ウィーン売買条約は全101条にわたって詳細な規定を置いており,日本の民法や商法とは異なる内容が数多くあります。
したがって,うっかりウィーン売買条約が適用され,その内容が貴社に不利であったということがないようにしなければなりません。
幸い,ウィーン売買条約は当事者の合意により適用を排除することが可能です。
特定の条項のみを適用しないということもできますし,ウィーン売買条約自体すべて適用を排除するということもできます。
適用するのが良いのか,適用しないのが良いのかについては,一概にいえませんが,現状でウィーン売買条約の条項を巡る紛争解決事例なども豊富だとはいえないため,積極的に適用したい事情がなければ,適用を排除した方が良いかもしれません。
ウィーン売買条約ではなく,自国の法律を適用するとした方が,専門家もすぐ見つかり,裁判例なども豊富にあるため,仮に英文契約書の条項の解釈などで争いが生じた場合に,解決が比較的容易になると考えられるからです。
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