英文契約書質の相談・問集13 海外の取引先と揉め事が起こった場合どうすれば良いでしょうか。

 

 英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に「海外の取引先と紛争などが生じた場合,どのように対応すれば良いでしょうか。」という質問があります。

 

 これは,当然ではありますが,紛争の内容や紛争のレベル,どの程度の時間が経過しているかなどの状況によって,対処法が異なります。

 

 例えば,輸入者である日本企業が購入した商品に欠陥があり,欠陥について売主にクレームを入れているが,なかなかまともに取り合ってくれないという場合があったとします。

 

 まずは,訴訟などの法的手続きを考えるのではなく,当然ですが,当事者間において交渉を試みます。

 

 前提として,製品に欠陥があった場合にどのような救済手段があるのか,英文・英語契約書見て,どのように記載されているかを確認する必要があります。

 

 製品の売買契約においては,一般的に,買主の救済手段としては,1.商品を欠陥のないものと交換する,2.代金を減額(返品)する,3.欠陥を補修するなどが定められていることが多いです。

 

 これらの救済手段は,売主がどの手段を使うのかについて選択権を持っていると定められていることがあります。

 

 もし,売主が欠陥の存在について争っているような場合は,欠陥があることを証拠によって証明し,きちんと契約書に定められた救済をするよう求めていくことになります。

 

 証拠としては,写真を撮影したり,実際の欠陥品の幾つかを売主に送付したり,第三者に調査してもらいレポートを提出するなどが考えられます。

 

 このようにして,説得していくことがまずは大切です。欠陥がある程度立証できるもので,取引額もそれほど多額ではないケースであれば,ある程度の段階で売主と和解できることが多いでしょう。

 

 より深刻なケースで,欠陥の存在について確たる証拠がなく(または,欠陥にあたるかどうかの許容範囲について双方の見解が異なるということもよくあります。),双方の主張が対立したまま長期間が経過するような場合は,当事者同士の交渉は終了させ,正式に弁護士からクレームレターを送付することが考えられます。

 

 この場合,英文/英語契約書において準拠法がどこの国と定められているかによって,選任すべき弁護士が異なってきます。

 

 日本になっていれば,日本の有資格弁護士を雇い,主に書面にて売主本人または売主の代理人弁護士と交渉をしていきます。

 

 なお,たとえ日本法が準拠法とされていたとしても,現地の弁護士をさらに選任し,日本の弁護士と現地の弁護士と協力して相手方弁護士と交渉していくということも多いです。

 

 日本法が適用されるとはいっても,現地の弁護士間の紛争解決についての「常識」やプラクティスがありますし,時差もあるため,現実には現地の弁護士にも動いてもらいながら,日本の弁護士がハブ的な役割を果たすということもよくあります。

 

 一般的には,弁護士間の交渉に至れば,紛争はどこかで着地し,和解により解決することが多いと思います。私のイギリスの経験でも9割以上は和解で終わっていたという印象です。もちろん,紛争内容,業界の種類にもよりますが,多くが和解で解決しています。

 

 訴訟や仲裁は,長期化しやすく,長期化すればするほど弁護士費用などのコストが膨大になります。また,裁判所や仲裁人の判断を予測するには困難が常にあり,当事者が予想した範囲を超える結論になることもあるため,まずは和解を目指すのが実務の常識となっています。

 

 一般に,国際取引では,訴訟よりも仲裁が選択されている方が多いでしょう。理由はいろいろとありますが,一般によくいわれるのは,ニューヨーク条約により,異国での執行が容易な場合が多い,非公開である,上訴ができないという点でしょう。

 

 もっとも,強制執行を考える(その可能性が現実的にある)のであれば,あえて相手方の地の訴訟にした方が適切だという場合もありますし,仲裁を選択するにしても,どこの地で行うのかにより有利不利が大きく変わる場合もありますので,最終的には個別の案件ごとに判断すべきということになります。

 

→next【英文契約書の相談・質問集14】 英文契約書は和文契約書を英訳して作成すれば良いですよね。

 

 

 

 英文契約書に関するサービス内容のお問合せ,見積依頼は下記からお気軽にどうぞ。

 

 正式にご依頼頂くまで料金はかかりません。

 

 原則として,当日,遅くとも1営業日以内(24時間以内)に折り返しご連絡させて頂いております。

 

 

 

お問合せ・ご相談はこちら

 お問合せフォーム・電話・メールでお問合せ頂けます。

 お問合せフォーム・メールでのお問合せがスムーズです。

 

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-6453-6337

担当:菊地正登(キクチマサト)

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝日

※契約書を添付して頂ければ見積回答致します。
受付時間:24時間

 英文契約書の作成・翻訳・リーガルチェック(全国対応),実績多数の弁護士菊地正登です。弁護士21年目(国際法務歴14年),約3年間の英国留学・ロンドンの法律事務所での勤務経験があります。英文契約・国際取引の専門家として高品質で迅速対応しています。お気軽にお問合せ下さい。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

03-6453-6337

<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝日は除く

弁 護 士 情 報

弁護士  菊  地  正  登
片山法律会計事務所

東京都港区芝5-26-20
建築会館4F
tel: 03-6453-6337
email: kikuchi@mkikuchi-law.com

片山法律会計事務所

住所

〒108-0014
東京都港区芝5-26-20
建築会館4F

アクセス

都営三田線・浅草線三田駅またはJR田町駅から徒歩約3分です

受付時間

9:00~18:00

定休日

土日祝日

 弁護士インタビュー動画

書  籍

士業・翻訳業者・保険会社・金融機関の方へ

各士業の先生方,翻訳業者,保険会社,金融機関のお客様の英文契約書に関する案件についてお手伝いさせて頂いております。

ご紹介頂いたお客様の初回相談料は無料ですので,お気軽にお問合せ下さい。

ご相談方法

メール・電話・Web会議・対面の打ち合わせによる対応を行っております。

サイト内検索 - 英文契約書用語の検索ができます -