英文契約書の相談・質問集16 不可抗力で振込ができなかった場合ペナルティはないですよね。
英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問として,「不可抗力で振込ができなかった場合ペナルティはないですよね。」というものがあります。
不可抗力というのは,自然災害など当事者がコントロールできない事由のことを指します。
日本法の場合,当事者が債務不履行責任により損害賠償や契約解除を請求するには,相手方に不履行について責めに帰すべき事由が必要とされていますので,不可抗力による場合,基本的に免責になります。
もっとも,各国によって,この考え方は異なっていて,例えば,英文契約書の基礎的概念として採用されている事が多い英米法においては,債務不履行責任を生じるのに当事者の帰責事由は原則として不要(厳格責任)とされています。
したがって,例えば,英国法を準拠法とするような契約の場合,不可抗力による免責を認めるためには,不可抗力免責の条項(Force Majeure)が必要となります。
ただし,金銭債務については,このような不可抗力免責とは無関係としている国が多いと思います。
日本法においても,当事者に帰責事由がなくとも,金銭の支払債務については債務不履行責任が生じます。
したがって,例えば台風によって銀行が閉まっていて振込ができなかったと言うような場合でも,多くの場合は,遅延損害金という賠償責任が生じたり,相手方に契約を解除されたりするということになります。
このことを明確にするため,不可抗力条項を作成する際,念のため,金銭債務については,不可抗力によっても免責されないと明記することもあります。
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