英文契約書の相談・質問集21 域外適用というのは何でしょうか。
英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に,「域外適用というのは何でしょうか。」というものがあります。
これは,一般的に,ある国(州なども含む議会などの単位)がある法律を制定した場合,通常は,その国のみに適用されるものが,その国を超えて,別の国や地域にも適用されることを指します。
代表的なものは,米国のAntitrust Law(反トラスト法)や,EUのCompetition Law(競争法),米国のForeign Corrupt Practices Act(海外腐敗行為防止法),イギリスのBribery Act(賄賂防止法)などが挙げられます。
これらは,たとえ,日本企業が日本で活動したり,アメリカやEU圏とは別の国で活動している場合であっても,これらの法律違反として,罰金を課されたりすることがあります。
これを域外適用と呼んでいます。
2018年5月からは,EUのGeneral Data Protection Regulation(一般データ保護規則)というものが施行されますが,こちらもいわゆる域外適用がありますので,日本にある日本企業にも一定の要件を充たすと適用されます。
このように,主として米国やEUは,世界の経済活動をフェアに行わせるというような趣旨で,自国を超えて,世界のマーケットのルールを制定し,違反する場合は,多額の罰金を課すなどの制裁に乗り出してきているというのがトレンドといえるでしょう。
少子高齢化社会が先進国で最も進んでいるといわれている日本において,日本企業が日本のマーケットだけでとどまっていては,生き残りは難しくなるでしょう。
そのよう情勢の下,海外展開をし,外国の市場を狙いに行く日本企業が増加する傾向は今後も続くでしょう。
その場合,自国や進出国の法律にだけ注意していれば良いということにはなりません。
上記のような域外適用がされる法律についてもきちんと把握し,そのリスクヘッジを行っていないと,思わぬところで大きな損害を被ることになりかねません。
これからは,自社や自国のルールで企業活動をしていてはならず,世界のルールを意識しながら,グローバルマーケットにおいて勝てる企業づくりをしなければならないということになります。
これらの域外適用がある法律の多くは,中小企業であっても適用されるとされていますので,世界中に海外展開しているような大手メーカーなどのみの話ではありません。
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