英文契約書の相談・質問集22 製造物責任(Product Liability)というのは何でしょうか。
英文契約書の翻訳(英訳/和訳)・作成・チェックに関する基礎的な質問に,「製造物責任というのは何でしょうか。」というものがあります。
製造物責任とは,簡単にいうと,商品に欠陥があった場合に,その欠陥が原因で,人が怪我をしたり亡くなったり,別のものが壊れたような場合にメーカー等が負う責任のことです。
製品の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)や,製品保証と違い,あくまで,製品に欠陥があるからその製品が使えないなどという製品そのものの損害のみが生じた場合の責任ではなく,欠陥製品から飛び火して生じる損害(拡大損害)が発生した場合についての責任を指します。
例えば,自動車に欠陥があり,その欠陥のせいで自動車が壊れただけで,そこから拡大する損害がない場合は,製造物責任は生じません。
逆に,自動車の欠陥が原因で運転手が事故して怪我したという場合には,運転手の治療費等の損害と自動車そのものの損害も併せて製造物責任による賠償の対象となります。
英語では,Product Liabilityといいます。略してPLと呼んでいます。
この製造物責任については,多くの国で,製造物責任法・PL法という形で規定されています。
各国によって,もちろん内容は異なりますが,一般的には,上記のように,製品の欠陥により損害が生じた場合は,メーカー等に過失がなくとも責任を負うという,無過失責任(厳格責任)とされている場合が多いと思います。
日本もそうです。なお,この製造物責任は,メーカーだけではなく,例えば,日本企業が海外のメーカーから商品を仕入れ,国内で販売展開しているような場合も日本企業に製造物責任が生じます。
製造物責任を負う主体として輸入者も挙げられているためです。
したがって,日本企業が自社製品を海外に輸出したり,海外から製品を輸入して販売する場合には,この製造物責任に注意しなければならないことになります。
英文契約書では,この製造物責任について記載されることが多いです。メーカーが製造物責任について責任を負わないという免責規定があることもあります。
ただし,この免責規定が有効になるかは各国の法律に従うことになります。
また,一般的には,取引の事業者間では,このような免責規定が有効となる余地(日本法の公序良俗違反のようは形で無効になることもありえます)があっても,実際に製品の欠陥により損害を被った被害者からの損害賠償請求については免責できないとされています。
また,英文契約書では,この製造物責任についてPL保険(生産物賠償責任保険)の保険加入義務が課されていることが多いです。
日本の契約書では,保険加入について触れられていることはそれほど多くはないと思うのですが,英文契約書ではよく見られます。
保険加入の条件を充たさないと契約違反となってしまいますので,こうした条項にも留意する必要があります。
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