英文契約書の相談・質問集24 海外進出のうち直接進出とは何ですか。
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく受ける質問に,「海外進出のうち直接進出とは何ですか。」というものがあります。
これは,ビジネス用語というより,より固い法務上の用語のようなものなので,ビジネスマンが知っておかなければならないものでもないのですが,海外展開の方法について整理するにはわかりやすい考え方かとは思います。
海外進出には,大きく分けて2種類あるといわれています。
一つが直接進出と呼ばれる形態で,もう一つが間接進出と呼ばれる形態です。
このうち,直接進出とは,例えば,日本企業が外国に100%出資した子会社として現地法人を設立して海外進出(独資による直接進出)したり,外資規制があるような国に現地のパートナーと共同で出資して現地法人を設立して海外進出(合弁による直接進出)したりする場合をいいます。
日本企業が海外の現地法人に資本を注入して海外進出をするので,「直接」進出と呼んでいます。
現地法人の株式を取得しますので,現地国の会社法のような法律について理解しなければなりません。
現地法人に出資して進出しますので,現地法人の設立を伴わない間接進出よりリスクは当然高くなります。事業からの撤退も容易ではなくなります。
特に,単独で100%出資した現地法人を設立するより,現地のパートナーと共同出資により合弁会社を設立する場合は,他の株主との間の関係をどう定めるか,取締役会のメンバーや運営,意思決定方法をどうするのか,株式を売却したり,合弁を解消したりしたいと考えた場合,どのような出口を設けるのかなど,検討事項が極端に増えます。
これらについて,合弁契約書(Joint Venture Agreement)や株主間契約書(Shareholder Agreement)などで取り決めていくことになります。
日本国内においても共同出資による合弁事業は難しいです。ノウハウや技術の共有,資金繰りの都合など様々な理由で合弁事業が行われますが,最初の大変な時期は皆一所懸命に利益が出るよう努力するので,うまくいく場合が多いです。
ところが,合弁事業がある程度軌道に乗り,利益が出てくるようになると,途端にトラブルになるケースが増えます。
合弁事業により上がった利益をどのように使うのか,配分するのかによって経営陣の意見が衝突することが多くなるためです。
このように国内でさえ成果を上げるのが難しい合弁事業を,法律も,言葉も文化も慣習も異なる外国会社と行うのですから,その大変さが理解できると思います。
直接進出を検討する場合には,十分な現地国の法律,制度,慣習,文化の調査,合弁なら共同出資企業の十分な調査が不可欠です。また,撤退を含めて事前に出口を決めておき,潤沢な資金も準備しなければなりません。
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