i.e.(英文契約書用語の弁護士による解説)
英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,i.e.があります。
これは,英文契約書で使用される場合に限られないですが,通常,「すなわち」という意味で使用されます。
電子メールでのやり取りでも頻繁に使われる用語です。
言い換え表現,まとめ表現の前に置く用語という言い方ができるかもしれません。
例えば,具体的な例を幾つか挙げて,それに共通する上位概念を後で挙げる場合に,上位概念の用語の前にこのi.e.をつけて「すなわち」◯◯という表現をよくします。
For example, apple, orange, grape...(i.e. fruit)(例えば,りんご,オレンジ,ぶどう...(すなわち果物))などという使い方です。
理解を助けたり,イメージをしやすくしたりするためにこの表現はよく出てきます。
使い方を間違えると,却ってあいまいになったり,概念が広がって,どの場面がその規定に該当するのかがわからなくなってしまうということもあります。
ただ,適切に使用すると,契約書や電子メールを読むときに,相手がこちらの意図を誤解せずに正しく理解してくれるための補助的な表現として役立ちます。
類似の用語としては,NamelyやIn other wordsなどが挙げられます。
個人的な印象ですが,アメリカ英語よりもイギリス英語で使う人が多いという印象を持っています。
ロンドンの法律事務所に勤務していた際,イギリス人弁護士がクライアントや他の弁護士が理解しやすいようにこのi.e.という用語をよく使用していたのを覚えています。