On or after X (date) (英文契約書用語の弁護士による解説)

 英文契約書を作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正をする際によく登場する英文契約書用語に,on or after X (date)があります。

 

 これは,英文契約書で使用される場合,通常,「X日以降」という意味で使用されます。

 

 つまり,「X日を含んで,その日以降」という意味です。

 

 これに対し,単にafter X (date)と表記した場合,X日当日は含まれないことになりますので,「X日の翌日以降」という意味になります。

 

 実際に英文契約書を読んだり,チェックしたりしていると,このあたりを厳密に表現していない英文契約書も多いのは事実です。

 

 したがって,例えば,すでにサインした英文契約書に,Buyer shall notify Seller thereof within three (3) days after X date...などと書かれていた場合に,X日当日は含まれないから,その翌日からカウントして3日以内に通知をすれば良いと安易に解釈するのは避けたほうが良いかと思います。

 

 買主側が正しく英文契約書の意味を理解していたとしても,売主が正しい意味で解釈しているかは別の話です。

 

 仮に売主の方はX日当日も含むと解釈していた場合,売主の認識では通知期限が,買主の理解より1日早いことになります。

 

 そうすると,買主が,買主の正しい理解に基づき期限までに間に合わせて通知を行ったとしても,売主からしたら,通知期限を過ぎているので,権利主張はできないはずだなどと抵抗してくることがありえます。

 

 もちろん,このような場合,買主としては,自身の英文契約書の解釈が正しいことを主張して,売主に反論し,権利主張を認めるように交渉することはできます。

 

 法的には,買主の主張が正しいでしょう。ですから,最終的には裁判などをすれが裁判所が買主の主張が正しいと認定してくれるはずです。

 

 しかし,このようなことでいちいち裁判をしていては時間とお金がいくらあっても足りません。

 

 仮に裁判をすれば自社が勝訴できる,つまり,自社が正しいのだとしても,ビジネスにとっては大切な経営資源である時間と金銭を失うことになる争いごとを生じること自体が大きなリスクです。

 

 お互いの認識が一致していない以上,いくら買主の解釈が法的に正しくても,売主がそれについて納得しない限り,取引が難航したり,この争いごとに時間を割いたりしなければならなくなります。

 

 そのため,入り口である契約書の段階で,このような争いごとの火種にになるような表現はできるだけ避けておくのが大切となります。

 

 したがって,上記のような場合,現実的には,買主としては,売主がafter Xの意味を誤解している可能性を加味し,X日を含めて通知期限を理解してなるべく早く通知をした方が良いでしょう。

 

 こうすることで,売主側の間違った認識に立ったとしても,期限内に通知したという事実を作り,議論の余地をなくしておけるので安全ということになります。

 

 もちろん,そもそも英文契約書において,誤解を生まないようなよりわかりやすい日数の表現をするのが何より大切です。

 

 例えば,X日当日を含ませたいのであれば,on or after Xとすることが考えられます。

 

 上記の表現では,onがあるのでX当日が含まれることが明確になります。

 

 また,逆に当日を含ませたくないのであれば,after X (exclusive)とすることが考えられます。

 

 Exclusiveという用語を入れることにより,X当日は除外されるということが明確化できます。

 

 細かいようですが,無用な争いごとを避けるためにはこのような細部にも注意する必要があります。

 

 ときには,たった1日の違いが大きなトラブルを呼び,重大な損失を招くことになりかねませんので,契約書の文言とその後の運用には最新の注意を払うようにしましょう。

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