英文契約書の相談・質問集32 英文契約書でNDAを締結したら正式契約をしなければいけませんか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書でNDAを締結したら正式契約をしなければいけませんか。」というものがあります。
通常,ビジネスが進行するまでに,交渉段階があり,交渉がまとまれば,正式契約を交わし,晴れて取引スタートという流れを辿ります。
そして,交渉するには,当事者のビジネスにかかわる大切な情報を相手方に開示することがあります。
このような場合には,大切な企業の秘密情報やノウハウを相手方に開示する前に,NDA(Non-Disclosure Agreement)(秘密保持契約)を交わしてから,情報提供するのが一般的です。
NDAを交わすということは,一定のレベルの機密情報をやり取りすることを前提としますので,相手方も,正式な取引の開始に期待を寄せるということがありえます。
そのため,NDAを締結したということは,後に予定されている取引に関して条件調整はあったとしても何らか正式に契約をしなければならないのではないかと不安になる方がいらっしゃいます。
確かに,相手に過度な期待を抱かせる行為を行ったり,相手に正式契約に向けた準備行為をさせたりすると,特に日本のような大陸法系の国では,Good faithという理論や,日本法でいうところの「契約締結上の過失」や「契約準備段階の過失」という理論により,一定の責任が生じる場合はあります。
もっとも,基本的には,NDAは,あくまで正式契約をすることが可能かどうかを検証するために,機密情報を含めて提供し交渉するために交わすものですので,NDAを締結したからといって正式契約を締結する義務を負うということはないと考えて良いでしょう。
ただ,上記の一定の責任を負うような場合も加味して,NDAを締結する際には,本秘密保持契約を交わすことにより,将来何らかの正式契約を締結する義務を負うものではないということを明記することもよくあります。
こうすることにより,当事者が,NDAは,あくまで正式契約の可能性を検討するために締結するものであり,正式契約が締結される保証はないことを明確に約束したという証拠となります。
検討段階で費用がかかるような場合は,費用についても取り決めたりしますが,検討期間や費用がある程度かかるという場合には,MOU(Memorandum of Understanding)などを締結するほうが一般的かもしれません。
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