英文契約書の相談・質問集39 海外の販売店の販売地域を制限するのは問題ありますか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「海外の販売店の販売地域を制限するのは問題ありますか。」というものがあります。
例えば,日本法人がイタリア国内に向けて自社製品を販売展開したいと考え,イタリアの販売店(Distributor)を指名したとします。
その場合の英文販売店契約書(Distribution Agreement)に,販売地域(Territory)として,イタリア全土ではなく,イタリアの一部の地域のみに商品を販売して良いという制限を課すことができるかという問題です。
日本法人としては,相手国のマーケットを分割し,それぞれ力が強いと考えられる地域に限定して販売店を指名し販売活動をしてもらいたいという要望を持つことはあると思います。
これは,通常,日本でいうところの独占禁止法,ヨーロッパではCompetition Law(競争法)として定められていることが多い法律の問題になります。
日本では,このように販売地域を限定する場合,メーカーのシェアがある程度大きい場合には独占禁止法の問題を生じる場合があります。
そのため,海外においても類似の法律により,場合によっては販売店の販売地域を限定すると独占禁止法や競争法のような法律に違反するということはありえます。
事業規模が小さい中小企業が行うような場合は,大企業が行うに比して危険は少ないとは思いますが,どうしても販売地域を制限したいという事情がある場合には,事前に現地の弁護士に相談した方が良いでしょう。
いわゆる先進国では,基本的に自由競争の中で経済発展を遂げるという考えのもとに独占禁止法などの法律を整備していることが多いです。
そのため,メーカーが自分たちの利益を確保しよう(そのように見える)と販売店の活動をメーカーの都合で制限したりすると,一定の範囲で独占禁止法や競争法の問題を生じることがあります。
海外で自社製品を販売展開する際には,この独占禁止法や競争法の考え方を理解しておき,「このような制限や指示は独占禁止法や競争法上何か問題になるかもしれない。」と感づく感覚を持っておくと役に立つと思います。
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