英文契約書の相談・質問集41 強行法規とは何でしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「強行法規とは何でしょうか。」というものがあります。

 

 強行法規/強行規定というものを理解するためには,原則の「任意法規/任意規定」というものを先に理解すると良いでしょう。

 

 いわゆる先進国では,一般的に,当事者の合意が尊重されます。日本でも,これを「私的自治の原則」「契約自由の原則」といい,基本的に当事者が合意した場合,原則として合意内容のとおりに法的効果を認めようという考えをとっています。

 

 そのため,例えば,Xという法律には「Aという事実が認められた場合,Bという法律効果が発生する。」と書かれていたとしても,当事者が「Aという事実が認められた場合,Cという法律効果が発生する。」と合意すれば,BではなくCという法律効果が発生するのが原則ということになります。

 

 また,例えば,X法に「責任が発生する」と書いてあってもこれを適用せず,免責してしまうこともできます。つまり,内容を変更するのではなく適用そのものを排除することもできるわけです。

 

 ここでいう,Xという法律(条文)のことを,任意法規/任意規定と呼んでいます。

 

 当事者がXに定められた内容を合意により変更できるので,強制ではない任意の法律,任意法規と呼んでいるわけです。

 

 これに対峙する概念が「強行法規/強行規定」と呼ばれる概念です。

 

 その名の通り,当事者が合意によってその内容を変更したり,適用を排除したりすることはできず,法律(条文)に書いてある内容が当事者の意思にかかわらず強制的に適用される法規のことを強行法規/強行規定と呼んでいます。

 

 例えば,日本法でいうと,労働法(法の適用に関する通則法第12条参照)や,消費者契約法(法の適用に関する通則法第11条参照),借地借家法,下請法,独占禁止法の中の条文などが典型例です。

 

 労働者,消費者,賃借人,下請業者,小規模業者など弱い立場の当事者を保護するために強制的に適用される法律と理解するとわかりやすいかもしれません。

 

 もちろん,民法などにも強行法規/強行規定は存在します。犯罪行為に関する約束などを無効にする公序良俗違反となる合意を無効とする規定などが典型例です。

 

 このような強行法規/強行規定は外国法にも存在します。

 

 海外展開の際に特に注意すべき強行法規/強行規定としては,独占禁止法・競争法のほか,販売店(代理店)保護法があります。

 

 独占禁止法・競争法は市場での自由な競争を阻害するような行為を禁止する法律で,販売店(代理店)保護法は販売店の利益を害する行為を禁止したり,販売店を保護する内容を定めたりした法律です。

 

 このように現地の法律にも強行法規/強行規定が存在する可能性があるため,英文契約書を作成する際には,英文契約書に記載したとおりの効果が本当に発生するのかどうかは強行法規/強行規定との関係で不透明だということがあります。

 

 このような不透明さを払拭するため,準拠法や現地法の強行法規/強行規定をチェックすることが必要になる場合があります。

 

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