英文契約書の相談・質問集43 英文契約書はなぜこんなに長いのでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書はなぜこんなに長いのでしょうか。」というものがあります。

 

 これにはいろいろな要因があると思いますが,私見を述べたいと思います。

 

 まず,英文契約書は,異なる国の企業同士が締結することが多い(英語圏の契約書は置いておいて)ものですので,できるだけ後で問題が起こらないように,予め多くのことを想定してどのようにするかを取り決めておこうという発想になるのだと思います。

 

 国が異なれば,法律も文化も商慣習も異なりますので,いわゆる「阿吽の呼吸」が通用しません。

 

 そのため,英文契約書では,和文契約書にありがちな無言の理解というのを前提とせず,取り決めるべきことについて詳細に取り決めるという傾向にあります。

 

 また,日本はどちらかというと信頼関係ありき,性善説の考え方で取引に入る傾向がありますが,海外では,いつ騙されるかわからないという姿勢で取引に入る傾向もあるように感じています。

 

 こうした警戒から,必然的に契約書が長文化するものと思います。

 

 もう一つは,日本の法律の起源と,英文契約書の背景となっている英米法(英国コモン・ローの)起源が異なるということも原因として挙げられるかもしれません。

 

 日本は,いわゆる大陸法系の国に属しますので,議会が制定法を定め,そのルールにしたがって経済社会が回るのを基本にしています。

 

 そのため,企業間の取引において問題が生じても,基本的には法律(とそれに関連する判例のこともありますが)を見れば,どのような結論になるかが一応書いてあるということが前提になっています。

 

 これに対して,英国コモン・ローの場合,判例法と呼ばれ,基本的には,個々の案件を裁判所が都度判断した結果の蓄積が法律になっています。

 

 そのため,日本のように体系だって,この場合はこのようになるということが制定法で整理されているというのとは様子が違います。

 

(最近では,英国でも制定法(Statute Law)も多いですし,逆に日本では議会の立法が時代の要請に追いつかないという事情もありますが。)

 

 もちろん,英国判例法をまとめて解説した文献などはありますが,それでも判断内容が変わることもありますので,日本に比べると問題を整理して結論を導く作業が困難といって良いかと思います。

 

 そうなると,必然的に,最初から問題にならないように,または,問題になったときにどうなるかをわかるように契約書に書いておこうという発想になるのではないかと思っています。

 

 そのため,行間や余白を残すというよりは,事細かに取り決めてそれを文書化しておこうとなり,英文契約書は長文になる傾向にあるのだと思います。

 

 このように,英文契約書の長文傾向は,日本の法律や,考え方とは異なる発想から来ているという側面があるので,理解するときには日本的な考えから抜け出して理解する必要があるかもしれません。

 

 「これは書かなくても大丈夫だろう」という発想は日本ではある程度通じるかも知れませんが,国際取引では危険です。

 

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