英文契約書の相談・質問集44 英文契約書で修正要望が多いと取引先の気分を害しませんか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書で修正要望が多いと取引先の気分を害しませんか。」というものがあります。
確かに,相手方が出してきた英文契約書のドラフトを,自社に有利になるようにたくさん修正して相手方に提出すると,自社の都合の良いように一方的に要求しているような気がして,気が引けるということはあると思います。
ただ,私の経験からしても,海外の取引先は,むしろ,言いたいことや議論しておきたいことは取引の開始前に出尽くした状態にしておき,取引が始まった後に,あれこれとこれまで話題になっていないような論点が出ないようにしておきたいという動機のほうが強いと思います。
なので,相手のドラフトにたくさん修正要求をしても,意外となんでもないという結論のほうが多いです。相手もそれは織り込み済みで,要求内容を単に再検討してくるだけのことが多いです。
特に日本の文化では,契約書がない状態で長年にわたり取引したり,以心伝心のような考えで,信頼関係を基礎にして取引をしていくといことが珍しくありません。
そのため,取引もまだしていない段階で,相手にいろいろと要求してしまうと,相手方の経営者の機嫌を損ね,取引を開始できなくなるのではないかと心配される経営者の方もいらっしゃることは理解できます。
しかしながら,取引先はそのような考えでいないことが多いですし,こちらがいろいろと修正要求をしたところで,取引先が受け入れられなければ,「修正は受け入れられない。」と単に回答してくるということがほとんどなのが現実です。
遠慮して本来言いたいことをいわずに契約してしまうと,後で紛争になる種を残してしまうことになり,そのことがかえって取引先の信用を失わせるということにもなりかねません。
何でもかんでも自社に有利にするように要求することが良いというわけではないですが(自社の利益ばかりを重視した契約書になると相手方はサインしないということが起こります),国際取引では,あまり遠慮せずにいうべきことはしっかりいうという姿勢が基本的には正しいかと思っています。
その上で,譲歩すべきところは譲歩し,最終的にお互いのビジネスがwin-winになるように英文契約書の内容を確定させるのが定石かと思います。
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