英文契約書の相談・質問集46 英文契約書の内容変更は不可といわれたら変更はできないでしょうか。

 


 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書の内容変更は不可といわれたら変更はできないでしょうか。」というものがあります。

 

 

 相手が大企業などの場合によくあるのですが,そもそも契約書の修正自体一切受けておらず,全件ひな形の通りで契約してもらっていると説明され,全く修正を受け付けてくれないということがあります。

 

 

 この場合は,その英文契約書の内容のとおりに契約するかしないのかという2者択一になってしまうのでしょうか。

 

 

 英文契約書の文面の修正を全く受け付けないというだけではなく,英文契約書の実質的な内容を一切変更することはできないという姿勢を相手が崩さない場合,上記のように,そのままの内容で契約するかしないのかの二択になってしまいます。

 

 

 ただ,中には,英文契約書の文言の修正は一切受け入れられないが,条項の内容自体の変更は一部可能という場合もあります。



 要するに,ひな形にはそのままサインして欲しいが,内容の変更は別の方法でなら受け入れるというパターンです。

 

 

 この場合は,法的拘束力をもたせた覚書(Memorandum of Understanding)(MOU)を締結して,覚書の中で,修正内容を記載すれば変更できることになります。

 

 

 ただ,通常,英文契約書にはEntire Agreement(完全合意)条項が入っているので,英文契約書以外の合意(この場合は覚書)の内容の効力が否定されてしまう可能性があります。

 

 

 Entire Agreement(完全合意)条項は,契約書の締結までに成立した契約書以外の一切の合意の効果を否定するという内容になっているのが普通だからです。

 

 

 この場合は,Entire Agreementにより無効にならないように,覚書の日付を英文契約書より後ろにするなどの対応をする必要が出てきます。



 一般的に,Entire Agreementは,あくまで契約書締結までに生じた合意の効果を否定するもので,契約書締結に成立した合意の効果を否定するものではないからです。

 

 

 また,MOU(覚書)による変更の方法以外には,注文書(Purchase Order)と受注書(Purchase Order Acceptance)で契約書の内容を変更することができる場合もあります。

 

 

 契約書の内容と個別契約(通常,注文書と受注書で成立します)に定めた内容が矛盾するときは,個別契約に定めた内容が優先するという条項が契約書にあれば,この方法が取れます。

 

 

 つまり,一旦は契約書にそのままサインをしておき,後に個別契約で一部内容を修正することが可能になるわけです。

 

 

 他に,英文契約書の内容そのものの修正はできなくとも,英文契約書の条項の文言が,あいまいで広い表現がされてわかりにくいような場合には,その条項の解釈を相手方に質問すると,答えてくれることもあります。

 

 

 この場合に,Entire Agreementがなければ,メールのやり取りで条文の解釈を明らかにしていけば,あとで英文契約書の条項解釈が問題になった場合に,メールの内容を証拠として主張できる可能性が出てきます。

 

 

 もっとも,相手方のひな形の場合には,英文契約書にそもそもEntire Agreementがあるのが通常で,これを削除することもできないということであれば,上記の説明も証拠として使えなくなることがあります。

 

 

 反対に,自社が用意したひな形について相手が譲れないとする修正案を入れてきて,その内容が広範かつあいまい過ぎるなどという場合には,Entire Agreementをあえて契約書から外して,電子メール等を使って契約書外で解釈を明確にし,これを証拠として使用するという方法を用いるということもあります。



 この点は,口頭証拠排除原則/法則(Parol Evidence Rule)が日本にはないので,考え方が難しくなっているともいえます。



 口頭証拠排除法則(Parol Evidence Rule)とは,上記のEntire Agreementに似た考えで,当事者が最終的に契約書を作成した場合,当該契約書の内容と矛盾し,またはその内容を変更するような他の証拠(例えば口頭による別の合意)を裁判所は考慮しないという原則のことです。



 国際取引では,この法則が絡んだり,Entire Agreementが挿入されていたりするために,契約書外での合意の有効性について色々と厄介な問題が生じるのです。



 契約書以外の合意の効力を否定するEntire Agreementは一般条項(General Provisions)といってあらゆる契約書に一般的に挿入されていますが,前述したとおり,常にEntire Agreementを入れるのが良いというわけではないので,この点は注意が必要です。

 

 

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