英文契約書の相談・質問集47 英文契約書に記載があっても実際は適用ないと言われました。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書に記載があっても実際は適用ないと言われました。」というものがあります。

 

 日本企業が海外のブランドの製品を日本に輸入販売するような場合,通常,メーカーがDistribution Agreement(販売契約書)などのドラフトを用意してきます。

 

 このような場合,Distributor(販売店)となる日本企業に不利な内容が数多く書かれているのが通常です。

 

 英文契約書において日本企業側に不利な内容が書かれていれば,当然,日本企業側に有利になるように修正し,カウンタープロポーザルを出します。

 

 しかしながら,相手がある程度の認知度を誇るブランド企業等の場合,修正は容易に受け入れてくれません。

 

 彼らとすれば,自分たちのブランドイメージを守り,浸透させるために,全世界で統一の条件でブランドを展開したいという思いがあるためでもあります。

 

 ただ,メーカーとしてもその日本法人に日本のマーケットは任せてみたいという思いも同時に持っていたりします。

 

 こういう場合,メーカー側は,担当者クラス,場合によっては役員クラスでも,英文契約書のある部分の内容について,「これは,このように記載はされているけれども,実際には,努力をしてくれていれば,この条項を適用することはないから大丈夫です。形式的なものだと理解して下さい。」と説明してくることがあります。

 

 この段階になると,日本企業側も海外の取引先も何度も交渉を重ね,信頼関係もできてきています。

 

 そのため,日本企業側は,海外のメーカーのいうことを信じてしまうというより,取引開始のために信じざるを得ないという状況になります。

 

 こうして,相手方のいうままに英文契約書にサインしてしまうことがあります。

 

 取引開始の当初は,お互いビジネスがうまくいくように協力する意思がありますので,特に問題の条項が浮上することはありません。

 

 しかしながら,日本企業の販促努力が足りなかったり,メーカーのブランディング戦略やマーケティング戦略と,日本企業側が考えた日本のマーケットに向けた特有のアイデアなどが合致せず,次第に関係が悪化していきます。

 

 こうなると,相手方は,容赦なく英文契約書の条項を盾に日本企業の契約違反による契約の解除などを主張してきます。

 

 この段階で,あのときこう説明した,適用はしないと説明していたと言ってみても,Entire Agreement(完全合意)条項により,英文契約書に記載された以外の内容の効力は否定されてしまいます。

 

 そのため,英文契約にサインする段階で,このようなリスクがあることは承知の上で,取引を開始しなければなりません。

 

 相手も騙すつもりがあったとまでは言えないケースがほとんどでしょう。本当にその条項の効果を主張するつもりは当初はなかったのかも知れません。

 

 ただ,条項の効果を主張するか迷う場面というのは関係性が悪くなっている場合がほとんどです。そのため,当初の態度とは異なる態度に出てくるわけです。

 

 当然といえば当然ですが,契約書に書いてあることはすべて実現しても問題ないという覚悟があってはじめて締結するべきです。

 

 もちろん実現する現実的な可能性が低いから受け入れるという判断もありえますが。くれぐれも「書いてあるけど主張しない」という相手の言動は鵜呑みにしないようにしましょう。

 

→next【英文契約書の相談・質問集48】 英文契約書のResiduals条項というのは何でしょうか。

 

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