英文契約書の相談・質問集48 英文契約書のResiduals条項というのは何でしょうか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書のResiduals条項というのは何でしょうか。」というものがあります。

 

 

 これは,英文契約書でも,IT系の英文契約書の秘密保持条項に関して挿入されることのある条項です。

 

 

 日本語では,「残留情報条項」と呼ばれています。細かい議論は置いておいて,簡単に解説します。

 

 

 企業間で取引する際,お互いの企業秘密を交わすことが多いですが,その場合,自己の秘密情報については,相手方企業に秘密として守ってもらい,契約以外の目的に利用したり,第三者に開示したりしてもらっては困ります。

 

 

 そのため,秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)を交わしたり,業務委託契約書(Service Agreement)において,守秘義務条項を入れるのが通常です。

 

 

 ただ,秘密情報の中にはいろいろな情報が含まれており,有体物やデータとしてある秘密情報を不正に利用したり,流出させたりしてはならないのは当然としても,秘密情報の一部にアクセスした者の記憶に残ってしまったものまで,使用制限するのは不適当な場合があります。

 

 

 情報そのものに高い価値のある秘密情報というよりは,何らかのノウハウのようなものがイメージとして近いかもしれません。

 

 

 いろいろな企業がいろいろなノウハウで成果を上げたり,業務効率を上げたりしています。

 

 

 このようなノウハウを,契約上の義務を履行する上で身につけたとして,そのノウハウを他では一切使用できないとなると形式的すぎて妥当ではない場合があります。

 

 

 例として適切かどうかはわかりませんが,理解のためには,営業トークのようなものを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。A社との取引で覚えた営業トークの内容や順番を,違う顧客との間で真似してやってみたというような場合がわかりやすいかもしれません。



 こういう場合まで守秘義務違反とするのは非常識的というところはあるかと思います。

 

 

 他方で,契約条項の文言上は,記憶に残ったものは例外的に秘密保持の範囲外という広い規定の仕方をされることもあり,この場合,上記のような常識的に問題ないと考えられるような秘密情報だけではなく,もっと重要な秘密情報まで,従業員の記憶にある限りは,どのようにでも使用して良いとなりかねません。

 

 

 このような解釈ができることになると,情報開示者としてはリスクが大きいことになります。

 

 

 したがって,情報を開示する側としては,基本的には,このResiduals条項は挿入しない方が良いことになります。

 

 

 実際,Residuals条項がなくとも,役員や従業員の記憶に残った情報を使用したという場合に,それが常識的に許容されるべき範囲内で,情報開示者の企業秘密として高付加価値があるようなものではなければ,仮に裁判などで判断されたとしても,秘密保持義務違反を問われる可能性は高くないとも考えられます。

 

 

 一般的な条項とまでは言い難いですし,情報を受け取る側のNDAのドラフトにこのような条項が合った場合,基本的には削除の方向で検討すべきかと思います。



 逆に,情報受領者としても,このような効果の強い例外条項を設けなくとも問題を生じないような体制を作るべきで,Residuals条項に頼るべきではないといえるかもしれません。

 

 

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