英文契約書の相談・質問集51 国際企業法務の顧問弁護士は何をしているのでしょうか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「国際企業法務の顧問弁護士は何をしているのでしょうか。」というものがあります。
日本の中小企業には,顧問弁護士がいないという企業がまだまだたくさんあります。そのため,顧問弁護士というものがどういう存在なのかわからないという経営者の方も少なくありません。
国際企業法務・企業法務においては,予防法務が非常に大切です。
予防法務というのは,医療の世界に例えると,重篤な病気(裁判のような血で血を洗う紛争)になる前に,日頃から簡単な健康維持のための生活習慣(契約書のチェックや専門家への法律相談)を整えましょうというようなイメージです。
病気になると,治療にコストも時間もかかりますし,下手をすると治療できないということもありえます。
法務でも,紛争が深刻化した段階では,手遅れで何もできないということもありますし,訴訟などになれば,多額の費用と,時間と労力が奪われます。
そのため,紛争が起こる可能性を生じる前に,低コストかつ少ない労働力で法的問題を防ごうという取り組みが予防法務です。
そして,この予防法務を中心に取り組むのが,(私がそうあるべきと考えている)顧問弁護士です。
顧問弁護士は,後に大きな紛争の火種になる可能性のある企業の法務に関し,アドバイスや書面(契約書を含む)の作成などによりサポートする存在です。
そうはいっても,中小企業であれば,企業規模にもよりますが,日常的に法務に関する問題があるということでもないかもしれません。
その場合,顧問弁護士の存在は,損害保険会社や警備保障会社のような存在と考えるとわかりやすいと思います。
相談があれば,すぐにいつでも相談ができ,貴社にフィットしたアドバイスがもらえるが,日頃相談がないときには,いざという時にはすぐに頼れる存在ということになります。
普段から予防法務に気をつけていても,紛争というのは相手の存在もありますし,第三者の存在もありますので,思わぬところからやってくるということも残念ながらあります。
その場合に,これまで付き合ったこともない弁護士を相見積もりして探して,事情を説明し,紛争処理を依頼するというのはかなりリスクが高いといえるでしょう。
貴社のビジネスや内情もわからなければ,経営者の人柄も知らない,契約書も見たこともないし,紛争の背景も今はじめて聞かされた,という状況で弁護士に紛争解決を依頼するのは勇気がいるのではないかと思います。
また,企業法務を中心としている弁護士は,顧問会社の案件を優先的に対応していると思いますので,そもそも飛び込みでのスポット依頼は断っている可能性があります。
こういうときに,既知で身近な存在である顧問弁護士が全力でサポートしてくれるということになります
ちょうど,月額の保険料や会費を払って,いざという時に守ってもらえる損保や警備保障に類似しているといえるかもしれません。
警備保障会社などは,警備のレベルで月額会費が違ったりしますが,顧問弁護士も,通常,業務量や難度で月額顧問料を変えているところが多いと思います。
国際企業法務についても,予防法務を行いつつ,いざという時には,海外の弁護士とも協力して,国際紛争を全力で解決にあたるという存在が,顧問弁護士といえるのではないでしょうか。
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