英文契約書の相談・質問集52 英文契約書で販売店の販売方法を制限しても問題ないですよね。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書で販売店の販売方法を制限しても問題ないですよね。」というものがあります。

 

 これは,独占禁止法や競争法(Competition Law)の問題となることが多いです。

 

 日本法人が自社製品を海外で販売展開する際に,販売店(Distributor)などを指名して,契約(Distribution Agreement)することがあります。

 

 その際に,英文契約書で,販売店の販売方法を制限したいと考えることがよくあります。

 

 販売店契約(Distribution Agreement)では,通常,販売店の販売地域(Territory)を設定します。

 

 例えば,ドイツならドイツ国内で商品を販売することができるなどと定めます。

 

 ところが,現在は,インターネット・Eコマースがありますので,いくら販売地域を英文契約書で制限しても,ネットで販売したりすると,事実上販売地域を越えて商品が販売されるということが起こります。

 

 これでは,販売地域を分けて販売店を指名しているのにもかかわらず,その意味が薄くなってしまいます。

 

 また,販売地域を越えて販売している販売店があると,自分の販売地域で商品を売られている他の販売店からクレームが来ることもあります。

 

 そのため,日本のメーカーとしては,このような問題に対処したいと考え,例えば,ネット販売は禁止するなどと英文契約書に記載しようと考えます。

 

 この場合に,問題となってくる法律が独占禁止法や競争法(Competition Law)ということになります。

 

 これらの法律は,自由でフェアな経済活動を企業に促すことで健全な市場の発展を目指す目的で制定されている法律です。

 

 そのため,本来であれば,販売店は,自由な販売戦略や販売チャネルで商品を販売展開できるべきだということになります。

 

 しかしながら,メーカーとしては,全く自由に販売させていては,上記のように他の販売店との問題を引き起こしたり,最適なグローバル販売戦略というものの阻害要因になってしまったりする可能性があります。

 

 このバランスの中で,規制が成り立っているといえます。

 

 したがって,このように販売店の販売方法(例えばEコマースの禁止)を制限する場合には,現地の独占禁止法や競争法に違反しないかどうかを調査する必要が出てくるといえます。

 

 ちなみに,日本の独占禁止法において,販売店の販売方法を制限する場合,下記のように考えられています。下記は日本の公正取引委員会の見解です。

 

 「商品の安全性の確保,品質の保持,商標の信用の維持等,当該商品の適切な販売のための合理的な理由が認められ,かつ,他の取引先小売業者に対しても同等の条件が課せられている場合には,それ自体は独占禁止法上問題となるものではない。」

 

 このように,販売方法の制限が常に許されるというわけではないので,日本のメーカーが海外進出を検討する際には,ご注意下さい。

 

→next【英文契約書の相談・質問集53】 英文契約書で代金の支払方法はどのようなものがありますか。

 

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