英文契約書の相談・質問集59 英文契約書でExclusiveの販売権とはどういう意味ですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「英文契約書でExclusiveの販売権とはどういう意味ですか。」というものがあります。
Exclusiveとは,排他的という意味ですので,例えば,販売店契約(Distribution Agreement)で使用される場合,この用語は独占販売権を与える契約,いわゆる総販売代理店とする契約であることを意味します。
このExclusiveという用語を使う場合,かなり重要な意味を持っていますので,日本企業が商品を輸出する側でも,輸入する側でも注意しなければなりません。
日本企業がメーカーで自社製品を輸出して販売展開する側であれば,当然,このような独占的な販売権という強い権利を与える場合,相応の働きを販売店にしてもらうことを考えなければなりません。
反対に,日本企業が販売店・輸入者側になるのであれば,Exclusiveの販売権をもらいたいと考えるかもしれません。
その代わり,Non-Exclusiveの非独占的販売権のときよりも,厳しい義務を課されることを覚悟しなければなりません。
よく話題になるのが,このExclusiveという英文契約書用語の実質的意味についてです。
排他的,独占的と日本語ではいいますが,問題はそれが具体的・実質的にどのような意味を持つのかということです。
具体的にいうと,例えば,日本企業が海外の企業から製品を輸入販売する場合に,Exclusiveの販売権をもらったとして,海外のサプライヤーは何ができなくなるのかということが問題になります。
排他的・独占的販売権を与えている以上,海外のサプライヤーは,販売地域(例えば日本)において,他の販売店を指名することは許されないということにはほぼ争いがないかと思います。
他方で,海外のサプライヤーが自社製品を日本の顧客に対して直接販売することまで禁止されているのかは,一応見解が別れるようです。
つまり,Exclusiveの販売権を与えた以上,海外のサプライヤーは,日本の顧客に自社が直接販売することも禁止されると考える立場と,そこまで規定したかは明らかではなく,海外のサプライヤーが直接日本の顧客に自社製品を販売する余地はあると考える立場があるということです。
この点は,Soleという英文契約書用語と区別して,Soleの場合は,海外のサプライヤーが日本顧客に販売する余地があるが,Exclusiveの場合はないと考える立場もあります。
文脈や当事者の意図からは,この見解が妥当だと個人的には思いますが,異なる見解を示す人がある以上,用語の解釈に頼るのは危険でしょう。
このように見解が別れる場合には,英文契約書に明確に規定するのが一番の解決策です。
要するに,海外のサプライヤーが日本の顧客に直接販売することは許されるのか,禁止されるのかを英文契約書に記載すれば良いということです。
この問題に限らず,特に国際取引においては,使用言語の問題もあり,当事者全員がその用語を同じ意味で解釈しているという保証がありません。
そのため,できるだけ複数の解釈を許さず,意味が一義的に明らかになるように英文契約書に規定するのが基本です。
このExclusiveの例などは,海外のサプライヤーが直接日本の顧客に販売できるのかできないのかによって,販売店としての日本企業の立場は大きく変わる可能性があります。
したがって,英文契約書を作成する際には,用語の意味にこだわるのと同時に,あいまいさを残さず,くどくても規定するという姿勢が重要になります。
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