英文契約書の相談・質問集61 販売店契約が終了しましたが在庫は売って良いのでしょうか。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「販売店契約が終了しましたが在庫は売って良いのでしょうか。」があります。

 

 

 例えば,貴社が海外のメーカーの販売店(Distributor)として,日本国内で海外のメーカーの商品を販売展開していたとします。

 

 

 契約期間は1年毎の自動更新とされ,もし期間満了で販売店契約(Distribution Agreement)を終了させる場合は,30日前までに書面によりその旨を相手方に通知するとされていたとします。

 

 

 そして,何年目かの更新の際に,日本の販売店が,海外のメーカーから,期間満了日の30日より前に,今回は販売店契約を更新せずに終了させるという通知を受けたとします。

 

 

 そうすると,あと30日の間で在庫を売らなければなりません。ちなみに,この契約の更新拒絶の通知を受けたとしても,すでに発注し,海外のメーカーが受注している商品については,原則として,有効なままです。

 

 

 つまり,更新拒絶の通知を受ける直前で相当量の発注をしている場合,在庫が増えてしまいます。

 

 

 英文販売店契約書には,販売店契約が終了すると,海外のメーカーの商標やロゴの使用をやめ,販売を終了しなければならないと記載されていたとします。

 

 

 そうなると,残り30日の期間で在庫をさばかなければ,不良在庫となり日本の販売店が損失を受けることになります。

 

 

 日本の販売店は,ここから30日間販売努力を重ね,セールもしましたが,相当量の在庫が残りました。

 

 

 この場合,日本の販売店は在庫の販売を継続してよいのでしょうか。

 

 

 英文契約書にどのように書いてあるかがまず問題です。

 

 

 販売店契約が終了した場合,商標やロゴの使用を中止し,商品の販売を終了するように英文契約書で義務付けられていた場合,在庫の販売継続はできないと考えた方が良いでしょう。

 

 

 30日より前に期間満了による終了を予告すると英文契約書に書いてあるということは,この30日の猶予期間で在庫を販売すべきと解釈される可能性が高いです。

 

 

 もちろん,商品はどのようなものか,取引金額はどのくらいか,契約がどのくらい継続していたのか,販売店とメーカーの規模はどのくらいの差があるのか,売上における販売店のメーカー依存度はどのくらいなのかにより,この更新拒絶の猶予期間が短すぎるなどの主張ができる可能性もあります。

 

 

 しかし,そのような主張は,適用法令や裁判例によるということになりますので,不安定なものです。

 

 

 このように,在庫についての規定が英文契約書に特になければ,販売店の立場は弱いものになってしまいます。

 

 販売店の立場から,このような事態を回避できなかったかと考えると,一つの解決法は,更新拒絶通知の猶予期間を長くとるということが挙げられます。

 

 

 商品の内容にもよるでしょうが,半年,せめて90日程度の猶予期間があれば,在庫をさばけるということは考えられます。

 

 

 もう一つは,当たり前のように聞こえますが,在庫をどうするのかを英文契約書に記載するという方法です。

 

 

 よく定められるのは,海外のメーカーの自由裁量により,在庫を買い戻すか,または,(海外のメーカーが買い戻さなければ)販売店が一定期間の間だけ販売店契約があったのと同一の条件で在庫販売できる(いわゆるSell-off period)という内容です。

 

 

 海外のメーカーの在庫引き取りが義務になっている英文契約書もありますが,数は多くないと思います。

 

 

 ただ,海外のメーカーとしても,自社製品のブランド維持が重要なので,自社ブランドが既存されるリスクのあるバナナの叩き売りをされることは避けたいという事情があります。



 かといって,小売価格を指定したり,安売りを禁止したりすると独占禁止法や競争法に触れる可能性があります。

 

 

 そのため,在庫の買い取りに積極的な海外のメーカーもあります。

 

 

 さらにいうと,一定期間在庫の販売を許すとしてしまうと,海外のメーカーが旧販売店との契約が終了した後に新たに販売店を指名しようと交渉しているような場合,新販売店が,旧販売店の在庫販売期間中は,独占販売権を得られないことになるということで交渉が不利になるケースがあります。

 

 

 そのため,海外のメーカーの買い取りについては,場合によって義務として書かれる場合もあります。

 

 

 いずれにせよ,販売店契約が終了した場合の在庫についてはどのように処理するのか,メーカーと販売店で話し合って事前に取り決めておくのがよいということになります。

 

 

→next【英文契約書の相談・質問集62】 販売する商品の保証期間はどのくらいにすべきでしょうか。

 

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