英文契約書の相談・質問集66 ロイヤリティやコミッション額はどうチェックすれば良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ロイヤリティやコミッション額はどうチェックすれば良いですか。」というものがあります。

 

 これは,例えば,ライセンス契約(License Agreement)におけるライセンシー(Licensee)がライセンサー(Licensor)に払うロイヤリティ(Royalty)や,代理店契約(Agency Agreement)における売主(Seller)が代理店(Agent)に支払うコミッション(Commission)で問題になります。

 

 これらのロイヤリティやコミッションについて,ライセンシーや売主が支払うといっているその金額が真実であるか(安くごまかしていないか)をどのようにチェックするべきかという問題です。


 

 ランニングロイヤリティやコミッションは,売上に対する割合などで決定すると英文契約書に定められていることがあります。

 

 この場合,ライセンサーや代理店が受け取るロイヤリティ・コミッションは,売上に比例して高額になるというのが通常です。

 

 そうすると,場合によって,ライセンシーや売主がロイヤリティ・コミッションの計算の基礎となる売上を「ごまかして」,低く申告し,ロイヤリティ・コミッションの支払いを実際よりも少額にするということが起こりえます。

 

 あまり一般化してはいけませんが,私の経験上は,こうした過少申告は,いわゆる先進国よりもアジア新興国などによく見られる現象です。

 

 この過少申告を防止するためにどのような方策があるかなのですが,一般的には,監査(Audit)という方法が取られています。

 

 例えば,売上を正確に把握するために,ライセンシーや売主の財務諸表や会計帳簿を閲覧できるという権利をライセンサーや代理店に付与しておき,公認会計士などにこれをチェックさせると定める方法があります。

 

 チェックした結果,実際のロイヤリティ・コミッションの金額よりも過少に申告されていた場合は,その差額や過少申告していたペナルティとして付加金などを支払うこととすると定めます。

 

 これでも完璧な方法とはいい難い面がありますが,一般的にはこのような方法が取られています。

 

 他には,ライセンシーや売主が請求書をメールで発行する際に,ライセンサーや売主もCCなどに入れてPDFで請求書を送るなどの方法をとることもあります。

 

 ただ,これもあえて省略してしまえば,把握は困難です。

 

 そのため,ライセンサーや代理店の中には,契約後の継続徴収は信用できないということで諦めてしまい,ランニングロイヤリティやコミッションは設定せずに,イニシャルペイメントですべて終了させるという方もいらっしゃいます。

 

 これはこれで,継続的な関係をあえて作らず,とにかく回収を重視するという方針ですので,相手先の性質によっては有効な手段だと思います。

 

 ランニングロイヤリティやコミッションというのは,中長期にわたり継続して収入が見込めるため,いわゆるサブスクリプションモデルのビジネスとなり,ビジネスの安定化には向いているのですが,回収できなかったり,過少申告により収益が充分でないとあまり意味がありません。

 

 したがって,英文契約書でロイヤリティ・コミッションを受け取れる権利を規定したから安心ということではなく,契約締結後の運用面において,きちんとその金額を把握・管理し,回収できる仕組みづくりまで行わなければならないということになります。

 

 特に海外の企業と取引する場合,残念ながら売上をごまされる可能性はそれなりに存在しているため,この管理はかなりのコストになることはよくあります。

 

 性善説・性悪説という言葉ありますが,誤解を恐れずにいえば,こと海外取引に限っては性悪説に立ってチェックする体制を整えたほうが良いです。

 

 後ろめたいことをしているわけではないですし,こちらが正当なことを求めているのに相手に拒絶されるのは,信用に足りない相手だということの証明にもなりますので,きちんと監視することは伝えて行く必要があるでしょう。

 

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