英文契約書の相談・質問集68 模倣品の製造販売リスクについてはどう対処すべきですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「模倣品の製造販売リスクについてはどう対処すべきですか。」というものがあります。

 

 日本企業が自社製品を海外に販売展開させていく際に,必ずといってよいほど問題になるのがこの模倣品問題です。

 

 国にもよるのですが,売れる商品を一定の地域に販売展開すると,間違いなく模倣されるという事態が起きると思ったほうがよいでしょう。

 

 文化的な相違もあり,こればかりはいくらコンプライアンスの重要性を啓蒙しても一定の確率で必ず発生するといっても過言ではないという印象を持っています。
 

 もちろん,英文契約書において,例えば,販売店契約(Distribution/Distributorship Agreement)であれば,販売店(Distributor)に対し,模倣品の製造や販売をしないように禁止する条項を挿入します。

 

 また,製造委託契約(Manufacturing and Supply Agreement)であれば,受託者(Manufacturer)に対し,模倣品の製造を禁止する条項を入れます。

 

 自社で製造を自ら行う以外の方法で模倣品を製造販売するケースもあるので,間接的にも行わないように契約書に禁止条項を入れます。

 

 それでも,模倣されるときはされます。資本関係がない友人知人や親族に別会社でさせるなどをしてしまえば,追跡は事実上不可能です。

 

 特に,今は,技術が発達していますので,昔よりも低コストでより正確な模倣品が作れてしまいます。

 

 3Dプリンターなどを思い浮かべれば昔よりも正確な模倣が技術的に簡単になっていることは容易に理解できるでしょう。

 

 したがって,この模倣品問題は,昨今,より深刻化しているといえます。

 

 こうした模倣品問題には,私のお客様が取っている対処法などを見ると大きく分けて2つあると思います。

 

 一つ目は,知的財産権(特許権,商標権,意匠権,著作権)などでプロテクトした上で,模倣品に対しては,これらの知的財産権侵害を理由に侵害行為を止めるように警告し,抵抗するなら訴訟手続きを取っていくという方法で,いわば正攻法ともいえる方法です。

 

 この戦略を取る方々は,商品のブランド価値が高かったり,商品や会社のブランドイメージが固くあったりすることが多く,これを毀損されるリスクを回避するために積極的に模倣品撲滅のために動いています。

 

 または,知的財産権のライセンスそのもので収益を上げている企業なども,この方法を取らざるを得ません。

 

 ただ,当然ですが,これには訴訟コストなど莫大なコストがかかってきますので,すべての企業がこの対策を取れるということではありません。

 

 もう一つの方法は,対策になっていないかもしれませんが,放置するという方法です。

 

 もちろん,警告くらいは出すこともありますが,訴訟までは採算が合わないし,次から次へと模倣品は登場するので,訴訟してもイタチごっこになりとても対応できないという場合に,放置するというお客様もいらっしゃいます。

 

 イソップ童話の「北風と太陽の」太陽の戦略ともいうべきでしょうか。

 

 この方法は一見消極的なようですが,この方法で逆に成功することもあります。

 

 どういうことかというと,模倣品を製造販売する会社は,悪い意味で利益をあげたいわけです。

 

 そのため,模倣品が売れるようにいろいろと販促努力をします。

 

 これを逆手に取って利用するのです。模倣品が出回り,パブリシティで報道されたりすると,その商品の認知度が急激に高まります。

 

 正規品を販売している企業は,この認知を利用します。パブリシティなども利用して,自分たちの製品こそが真正品で,このようなこだわりがあり,品質もよくお客様にご愛顧頂いているということをアピールします。

 

 そうすると,コアなファンはもともと模倣品などには目もくれませんし,新たに商品を知った潜在顧客も,真正品が欲しいと真正品を購入し応援してくれるファンになってくれることがあります。

 

 良いものや自分が好きなものは応援したくなりますし,今はSNSがありますので,顧客・ファンが支援してくれ,真正品の認知度が高まり,マーケットが広がるということが起こりえます。

 

 このようにうまくいくことは稀でしょうが,実際にこのような事例もあります。

 

 大切なことは,海外展開をする際には,ある程度模倣はされるものだと思っておくということです。

 

 一番強いのは,真似しようがないブラックボックスを持つことだと思います。

 

 特許で守っても期間制限がありますし,あえて特許などで情報を開示してしまわず,バレようがないという状態でブラックボックスを持つのは強いです。

 

 よくいわれる,著名飲料メーカーのコーラの原液,老舗の鰻屋さんの注ぎ足しの秘伝のタレです。

 

 これは真似しようがないので,類似品が出ても負けることはありません。

 

 そのため,海外に商品や技術,サービスを販売展開する場合,このブラックボックスを作れないかという視点を持つことも大切です。

 

 貿易実務上,成分表などは提出しなければならないので,難しいですが,方法はありますので,知恵を絞ることが大事です。

 

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