英文契約書の相談・質問集76 取引先のドラフトの内容が不明確な場合どうすれば良いですか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「取引先のドラフトの内容が不明確な場合どうすれば良いですか。」というものがあります。

 

 もちろん,英文契約書の内容が不明確な場合,最終的には,明確になるよう(こちらの望む内容となるよう)修正すべきです。

 

 ただ,取引先が作成したドラフト(原則として自社でドラフトは作成すべきですが)の場合,そもそもその条項がどういう意味なのか,自社が想定している事態は含むのか含まないのかなどがわからないということがあります。

 

 この場合,法務部や顧問弁護士などに質問するということになりますが,それで足りるのでしょうか。

 

 それでも足りないことがあります。国際取引において,英文契約書の内容を自社側で解釈・想像して取引に臨むのはときに危険です。

 

 そのため,場合によっては,取引先に条項の意味(自社が想定する事態が含まれるか含まれないのかというような質問も含め)を質問した方が良いです。

 

 中には,取引先に英文契約書の内容を質問すると,自社の手の内を見せることになったり,かえって藪蛇になることになったりするのではないかと心配される方もいらっしゃいます。

 

 確かに,問題となっている条項の内容次第では,あえて質問しない方が良いこともよくあります。

 

 これは,実践的・実務的な経験に基づく判断によるところが大きいので,なかなか説明するのは難しいのですが,質問した場合に相手の回答がいくつか想定でき,そのいずれの回答が出てきてもすべてに対処法があって,それを相手方も受け入れるはずだというような場合には,質問した方が良いです。

 

 または,質問しない限り修正しようがないほど想定している場面がよくわからないという場合も単純に質問すべきです。

 

 抽象的でわかりにくいと思いますが,ここで申し上げたいのは,取引先に契約内容の質問をするのは一般的によくないかといわれるとそうではないということです。

 

 ここで,事例を想定します。貴社が,ライセンサーからある技術についてライセンシーとしてライセンスを受けるライセンス契約(License Agreement)を締結しようとしているとします。

 

 貴社がそのライセンス契約のライセンスを使って行おうとしていることがあり,それは取引先にも最初から説明していますが,契約書を見るとそれが禁止されているように読めます。

 

 このような場合,自社で確認し,最初から説明しているのだから,大丈夫だろうなどと考えると危険です。

 

 契約後,経営者が変わったり,株主が変わったり,担当者が変わったりすると,突然,従前と異なる主張をしてくることはよくあります。

 

 そのため,このような場合,契約締結前に,条項内容について取引先に質問すべきです。

 

 そして,貴社が想定していることが含まれるのであれば,明確になるように修正し,含まれないという回答ならば,含まれるように再交渉が必要です。

 

 問題は,「契約書の内容は一律それでお願いしているが,貴社が言っている内容は行って構わない」という回答を担当者からメールで受けたような場合です。

 

 これを信じて,そのまま英文契約書にサインしてはいけません。なぜなら,英文契約書には,通常,Entire Agreement(完全合意)条項があるからです。

 

 このEntire Agreement(完全合意)条項により,口頭やメールで合意した内容は効力がないとされ,鳥しき先の担当者と行ったメールでの合意は無効となってしまいます。

 

 したがって,上記のような回答を受けたとしても,説明の内容が英文契約書からは読み取れないということであれば,やはり英文契約書の内容を修正する必要があります。

 

 もっとも,内容が明確でなく,どちらとも取れるような場合,解釈指針として取引先からメールを得ておけば,意味の補完としてひとまず安全であろうという場合もあります。

 

 いずれにせよ,重要なのは,英文契約書の内容があいまいであるにもかかわらず,担当者の言動を安易に信じたり,自社に都合の良いように行間を勝手に読んで,自社に有利に解釈したりしてはならないということです。

 

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