英文契約書の相談・質問集77 源泉税についてはどうやって定めれば良いでしょうか。

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「源泉税についてはどうやって定めれば良いでしょうか。」というものがあります。

 

 例えば,ライセンス契約(License Agreement)で,日本企業がライセンシー(Licensee)として,ロイヤリティ(Royalty)をライセンサー(Licensor)に支払うことになったとします。

 

 その場合に,ライセンサーの国と日本国で交わしている条約などにより,源泉税(Withholding Tax)が定められていることがあります。

 

 源泉税は,ライセンサーが負担すべき税金を,ライセンシーが予め源泉徴収して支払うということですので,当然税金を最終的に負担すべきはライセンサーです。

 

 したがって,ロイヤリティがライセンス契約(License Agreement)で定められている場合,定められた金額からライセンシーが源泉税を控除して,残りをライセンサーに払えば法的義務は尽くしたことになります。

 

 しかしながら,まれに,源泉税を差し引いて支払うと,ライセンサーから,ロイヤリティの請求金額に達していないので,源泉分を戻して請求額の満額を支払うようにと要求される場合があります。

 

 源泉税はあくまで税金の問題ですから,法的には,源泉税を差し引いた金額を支払えば足りるのですが,このことを説明しても,理解できないのか,理解できないふりをしているのか,ライセンサーが満額の支払いに固執するということがありえます。

 

 私の経験上,英文契約書では,(当然のことですので)源泉税のことまで規定しないことの方が多いですが,上記のような問題がありうるので,源泉税について予めどのようにするか,規定することもにあります。

 

 一つは,源泉税の徴収がある場合は請求額からその額が控除されるということを明記し,予め請求額の額面どおり支払われることが保証されるわけではないことを書いておくということがありえます。

 

 また,逆に,請求額の額面全額を支払う義務があることを契約書に記載し,源泉税を控除する必要がある場合は,その額を上乗せして支払わなければならないと定めることもあります。

 

 ただ,源泉税の控除分を上乗せして払うとなれば,売上がその分上がってしまうことになりますし,本来,何として計上するかなどの問題も生じますので,源泉分まで上乗せして払うということは,税務・会計上全く問題がないというわけではないかと思います。

 

 また,労務問題で会社と外国人役員や従業員がトラブルになり,和解して和解金を払うときにも,源泉の問題が生じることがあるので,取り扱いについて予め契約書に記載しておくなどの対処が必要なこともあるでしょう。

 

 一つ言えることがるとすれば,特に海外との間で取引すると,ときに思いもかけない主張をされることがあるということでしょう。

 

 日本ではありえないような主張をされて,いくら説明しても,言い訳を繰り返しまったく理解せず,平行線をたどるということが起こっています。

 

 このように,海外取引では,日本ではほとんど問題にならないようなことで,粘り強く話し合いを行い,落とし所を探らないといけないということはよくあります。

 

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