英文契約書の相談・質問集78 ウェブサイトのドメインは販売店に取得させるべきですか。
英文契約書の作成,チェック(レビュー/審査),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ウェブサイトのドメインは販売店に取得させるべきですか。」というものがあります。
例えば,日本のメーカーが自社製品を海外に販売展開する際に,現地で販売店(Distributor)を指名し,販売店に製品を販売してもらうとします。
その際に,販売店が販売店のウェブサイト上で製品をオンライン販売するという場合があります。
日本のメーカーは,製品にブランド名をつけて販売しています。そのため,販売店としても,自国で製品を販売する際に,同一のブランド名称で製品を販売する予定です。
当然,日本のメーカーは,販売店にブランド名の使用を許すため,販売店契約において自社が有する商標・ロゴの使用許諾をします。
その中で,販売店から,販売店の所有するウェブサイトで製品を販売するために,日本のメーカーのブランド名をつけたドメインを新たに取得してオンラインショップサイトを作りたいという要望が出ることがあります。
確かに,ウェブサイトを制作する際に,メーカーのブランド名のドメインで制作できた方が,ブランド認知の向上や,ブランドの統一的なイメージ構築には役に立つと思います。
販売店が正規の販売代理店であるということも顧客に伝わりやすくなるため,販売店にはメリットが大きいと思います。
販売店は自社の積極性を強くアピールし,ドメイン取得がいかに現地の販促活動において重要なのかを力説してくることがあります。
しかしながら,メーカーとしては,販売店に自社のブランド名のドメインを取得させるのは基本的には慎重になった方が良いかと思います。
一度,販売店がメーカーのブランド名でドメインを取得してしまうと,販売店契約が継続して関係がうまくいっているときは問題ないのですが,関係が悪化するなどして,販売店契約が終了する際に,問題を生じることがあります。
メーカーのブランド名といっても,ドメインを所有しているのは販売店であるため,もし販売店契約を終了させて,自社が設立した現地法人に製品を販売展開させたり,別の販売店を指名して製品を販売展開させたりする場合,そのドメインを使用したければ,旧販売店のドメインを買い取るか,使用料を払わなければならなくなってしまいます。
そして,旧販売店は,メーカーとの関係が悪化している場合には,ドメインを取得していることを盾にして強気の交渉に出てきます。
メーカーとしては,別の名称でドメインを取得すればよいのですが,すでにそのドメインでアクセスが集まっていたり,認知度が高かったりすると,全く別の名称のドメインでウェブサイトを制作するのが不適切である場合があります。
そのため,良い関係のときだけを考えてあまり販売店に権利を与えすぎると後で大きな足かせになる場合があります。
反対に,日本企業が販売店側になる場合には,ウェブサイト制作時にメーカーの企業名やブランド名を冠したドメインを取得できれば,契約について有利な立場を構築できるといえるでしょう。
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