英文契約書の相談・質問集85 損害賠償責任はすべて免責としておけば安全ですよね。

 

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「損害賠償責任はすべて免責としておけば安全ですよね。」というものがあります。

 

 

 英文契約書によくあるのは,結果損害(consequential loss),間接損害(indirect loss),付随的損害(incidental loss),懲罰的損害賠償(punitive damages)などを免責する免責条項です。


 

 また,製造物責任(product liability)も免責とされている場合もあります。



 これらは,損害の範囲が広くなりすぎる傾向にあるため,損害賠償額も多額に上る可能性があります。そのため,免責が定められることがあります。

 

 

 ただ,これらの免責条項がすべて有効(契約書の規定通りに免責になる)かといわれると,そうはならないことがあります。

 

 

 前半の,結果損害などの免責は,コモン・ローの解釈でも日本法の解釈でも原則として有効となり,免責となることが多いと思います。

 

 

 対して,後半の製造物責任の免責などは注意が必要です。

 

 

 英米法の考えでは,当事者に故意または重過失があった場合には免責は認められないと考えられていますし,日本法の下でも,このような場合はたとえ契約書に免責と書かれていても,判例上免責の効果は得られないことがあると考えられます。

 

 

 また,英米法の考えでは,人の生命身体に対する損害(製造物責任の一部)については,免責(および後述の責任制限)は認められないとされています。

 

 

 日本法でも,エンドユーザーに対する製造物責任の免責は認められないとされています。

 

 

 したがって,これらの責任について免責規定を定める場合は,その有効性に配慮しなければなりません。

 

 

 さらに,英文契約書では,責任が生じるとしても,責任の上限(責任制限・Limitation of Liability)を定めることがよくあります。



 責任の金額に限界を設けるためにフタをするという意味で,capとも呼びます。

 

 

 例えば,仮に損害賠償責任を負うことになっても,「直近1年間の取引額を最大限とし,それを超える損害は賠償しない」などと規定されます。

 

 

 この場合でも,英文契約書では,守秘義務違反や知的財産権侵害がないことを保証する義務違反については,上記の責任制限は適用されず,実際に生じた損害を満額賠償すると定められることが多いです。

 

 

 守秘義務違反や知的財産権侵害がないことを保証する義務違反の場合,義務違反が深刻な損害をもたらす場合があるので,その回復のためと,抑止効果を狙ってこのように定められます。

 

 

 このように,免責や責任制限を定める場合でも,ただ定めれば良いというわけではなく,実際の有効性や,責任を制限する実際の意味合いをよく考えて規定しなければなりません。



 もっとも,実際に免責の効果が得られるのかどうかを究極的に判断するのは裁判所や仲裁人です。



 裏を返せば,裁判や仲裁に持ち込まれずに相手が諦めてくれればそれで免責の目的は達成できるということでもあります。


 

 そのため,裁判や仲裁になれば無効となる可能性が高くとも,当事者に対する牽制としてあえて定めておくということも場合によってはありますので注意して下さい。

 

 

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