英文契約書の相談・質問集86 ネイティブに契約書の英訳を依頼するときの注意点は?

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「ネイティブに契約書の英訳を依頼するときの注意点は?」というものがあります。

 

 すでに会社で使っている和文契約書のひな形を英訳して英文契約書として使用したいという相談を受けることがあります。

 

 自社に英語のネイティブスピーカーがいるので,その人に英訳してもらおうと思うが,注意すべき点はありますかということもよく聞かれます。

 

 まず,英文契約書はコモン・ローという英米法の概念で作られるのが一般的ですので,できればこの概念に沿って用語や条項などを作成することが良いと思います。

 

 単なる訳文ですと,この英米法の概念が入らないため,相手方に理解してもらえないということが起こりえます。

 

 また,英訳する際に,英語の表現としてきれいであるということより,誰が読んでも誤解されないよう正確な内容を心がけることが大切です。

 

 英語としてきれいか,美しいか,自然かどうかという点にフォーカスしてしまうと,例えば,同じ用語や表現は繰り返さない,指示語を使うなどが良いとことになりがちです。

 

 ただ,こと英文契約書に関しては,あくまで契約書ですので,表現が美しいかなどは二の次です。

 

 それよりも,正確に文意が伝わるか,読んだ人が意味を誤解のしようがないかという視点の方が大切です。

 

 そのため,くどいように思えてもあえて同じ用語を繰り返し使ったり,指示語を避けるというのは英文契約書では正しいといえます。

 

 また,当事者はわかっているのでと,文章の内容を極端に簡略化することも避けたほうが良いでしょう。

 

 例えば,第三者である裁判官が読んでわかるかという問題もあるからです。裁判官が読んでわからないのであれば,当事者が裏切って別の主張をしだした場合,裁判所がそちらの判断を採用してしまうかもしれません。

 

 さらに,特に当事者が英語圏ではない要な場合,わかりにくい二重否定の表現もできるだけ避けるべきでしょう。

 

 省略表現にも注意が必要です。あえて誤解がないようにくどく記載するということもあります。

 

 例えば,Seller shall not… or...などとして,否定表現として相手が受け取るか自信がないというようなときは,Seller shall not...and Seller shall not...などとして,norだとかorだとかをあえて使わず,誰でも禁止されていることがわかるようにあえてくどく記載するということもあります。

 

 また,受身表現も,まったく使わないわけではないですが,一般的に,わかりにくくなったり,責任の所在や行為主体が誰なのかが不明確になったりするので,不必要に使用しない方が無難でしょう。

 

 このような表現をすると,英文表現としては,拙い,こなれていないという印象を与えることもあるでしょうが,小説ではなく,あくまで契約書を作成しているのですから,目的を大事にしなければなりません。

 

 契約書を作成する目的は,当事者の権利と義務を明らかにする,相手方とのトラブルを防ぐ,トラブルになったときに解決の仕方を明らかにしておくなどにあるはずです。

 

 そうすると,解釈がいろいろありえたり,当事者間で違う理解をしたりするという可能性はできるだけ排除すべきです。

 

 英語ネイティブ同士ではない当事者で契約するならなおさらです。

 

 したがって,契約書を英語のネイティブの方に英訳してもらう際は,美しい,自然な英訳をしてもらうというよりは,意味に誤解がなく理路整然としている機械的な表現が良いということになるでしょう。

 

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