英文契約書の相談・質問集87 Indemnityで和解金の補償まで求められている場合の対処法は?

 

 英文契約書の作成,チェック(レビュー),翻訳(英訳/和訳),修正の依頼を受ける際によく受ける相談・質問に,「Indemnityで和解金の補償まで求められている場合の対処法は?」というものがあります。

 

 Indemnity/Indemnification Clause(補償条項)は英文契約書特有の条項といって良いでしょう。

 

 和文契約書の損害賠償条項とは似て非なるものです。

 

 Indemnity/Indemnification Clause(補償条項)の内容は,様々なのですが,概ね,契約違反などをした当事者は,そのことにより相手方当事者やその関係者に一切損害を被らせないようにするという内容になっています。

 

 さらに,契約違反などをした当事者は,そのことにより相手方当事者が第三者から訴訟を提起された場合,相手方が第三者に対して支払った賠償金や和解による解決金などがあれば,それについて補償しなければならないと書かれていることもあります。

 

 上記の場合に判決や仲裁判断が確定し,賠償額が確定した場合には,違反当事者が相手方当事者が払う賠償額を負担するというのはやむを得ないと,割と理解されやすいかと思います。

 

 問題は,相手方当事者が第三者との間で和解(Settlement)をする場合です。

 

 和解するということは,判決や仲裁判断とは異なり,当事者がお互いに譲歩し合意して,賠償額等の和解条件を決定し,任意に紛争を解決することになります。

 

 そうすると,例えば,相手方当事者が紛争を早期に解決したいがために,「相場」よりも高額の和解金の支払いを約束したり,第三者が求めるとおりに,違反当事者の非を認め公に謝罪するなどと約束したりすることも理論上ありえます。

 

 このような場合に,違反当事者が何も口を出せず,ただ相手方当事者が和解した内容のとおり和解金等を負担しなければならないとするのでは,違反当事者にとって酷ということがあります。

 

 したがって,このようなIndemnity/Indemnification Clause(補償条項)の場合には,契約違反などをした当事者も,相手方当事者の訴訟について,何らかのアクションができるようにしておく必要があります。

 

 例えば,訴訟に関する主張・証拠資料の写しをすべてもらい,訴訟の進行や主張方針に意見を述べることができ,双方協力して訴訟にあたるなどとしたり,和解するには,違反当事者の承諾が必要としたりすることがあります。

 

 もちろん,和解に違反当事者の承諾が必要となると,合理的に考えて和解すべき場面に違反当事者の反対によりできないということも生じうるため,違反当事者は和解を不合理に拒めないとか,和解金が不合理に高額な場合のみ違反当事者は同意を拒否できるとされる場合もあります。

 

 英文契約書のIndemnity/Indemnification Clause(補償条項)では,他にも,違反当事者が,相手方当事者が第三者に訴えられた訴訟を代わりに遂行する義務を課していたり,訴訟の進行方向について細かく指定していたり,和文契約書では,通常定められない内容が,盛り込まれていることがあります。

 

 英文契約書ではこのような取り決めが例外的というわけではないので,契約書を審査する際には,記載された内容が現実的に対応可能なものか,どの程度リスクが顕在化する可能性があるか,どの権利を最終的に握っていれば安全かなど,細かく検討して修正しなければなりません。

 

 Indemnity/Indemnification Clause(補償条項)は,当事者の責任分配に関する規定ですので,安易に妥協せずに妥当な範囲内の責任内容になるよう粘り強く交渉することが大切です。

 

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